掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
術後の婦人科疾患に対するピル使用の影響について
ゆきこ(大阪府) 2015/03/28
36歳女性です。
7年前全摘手術を受け、化学療法、リュープリン2年、ノルバデックス5年が終了しました。

粘液癌、18×15mm、T1 (他にも小さいものが沢山混じっていたため全摘)
リンパ節転移なし、Grade Ⅰ
ER強陽性95%,PgR強陽性95%,HER2 -

最近婦人科で診察をしたところ、子宮内膜ポリープの群生があり、おそらくその影響で、
貧血(Hb9-10)および妊孕性低下をきたしている、とのお話でした。

そこで、中容量ピル(ソフィアA)を3ヶ月、服用してはどうかということになりました。
(エストロゲン0.05mg, プロゲステロン1mg配合)

乳癌に禁忌ではあるが、3ヶ月だけ使ったくらいで、乳癌の自然発生率は変わらないと思う、
との婦人科の先生のお話でした。
ただ、ER, PgRとも強陽性だったことを考えると、怖じ気づいてしまっております。

5年以上ピルを使うと乳癌は1.6倍に増える等ということを調べたのですが、
それより短い期間については見つけることができませんでした。

一般的に、ER,PgR陽性患者にピルを使うということについての乳癌リスクについては、
どのように考えていったらよいのでしょうか?

   
Re:術後の婦人科疾患に対するピル使用の影響について
fm(神奈川県) 2015/03/31
こんにちは、病院で薬剤師をしています。
ご質問のあったピルについてお答えします。
ご指摘の通り、用量に関係せずピルはエストロゲン依存性の悪性腫瘍(乳癌など)のある人には禁忌または慎重投与となっております。大規模な試験では新規の乳癌リスクにはほとんど影響しないと分かり低用量ピルのガイドラインでも乳癌リスクについて「いかなるリスク増加も小さい
と考えられる。加齢とともに変化し、中止後10年でリスク増加を認めなくなる」と記載されております。

「5年以上ピルを使うと乳癌は1.6倍に増える」➡情報源はどちらでしょうか?こちらは信憑性が疑わしいと思われます。

今回、ホルモン陽性乳癌に対してのピルの使用は上記新規乳癌リスクとは異なります。短期間ならば問題ないと裏付けるデータがなく、乳癌を悪化させる可能性もあり、やはり一般的には禁忌・慎重投与となるかと思います。妊孕性のお悩みと現在の乳癌の状態について婦人科、乳腺科の主治医とよく話し合い納得された治療が続けられることを願っております。

最後に、薬の安全面に関して、なにか問題があった時に製薬会社や厚生労働省が保証してくれる場合は適正に使用した場合です。禁忌の人に使った場合は保証してくれません。ガイドラインや経験的使用よりも添付文書に記載されている内容が保険診療、治療となっています。
Re:術後の婦人科疾患に対するピル使用の影響について
ゆきこ(大阪府) 2015/04/11
ご丁寧な回答をいただき誠にありがとうございました。
返信が遅くなり大変申し訳ございませんでした。

なかなか結論が出ず悩んでおり、図書館などにも通い調べてみたのですが、
まだ結論は出ないでおります。

多くのデータを教えていただき、大変参考になりました。
>「5年以上ピルを使うと乳癌は1.6倍に増える」
というのは、婦人科のクリニックのサイトで目にしたのですが、
私の解釈が間違えているのかもしれません・・・大変申し訳ございません。

ガイドラインや試験の結果でリスクとして出ているものは、
「新規の」乳癌リスクに対して、ということだったのですね。

今回のような、ホルモン陽性患者が服用した場合とは、当てはまるものではないのですね。
全くそのことが頭にありませんでした。
やはりリスクとしては、新規の場合よりも大きめに考えておいた方が良いかもしれないのですね。

短期間だったら良いかな・・・と少し思ったのですが、
やはり、短期間ならば問題ないと裏付けるデータがないことや、
乳癌を悪化させる可能性もないといえないことを考えると、
やはりピルには積極的にはなれない気持ちがあります。

また、薬の安全面に関して、保証があるのは適正に使用した場合であることなども、
全く知らなかったので、大変勉強になりました。

ホルモンが強陽性なのに、癌のえさになるものを服用するということに、やはり抵抗が捨てきれず、
また妊孕性との兼ね合いについても、主治医の先生と話し合い、もっとよく考えを突き詰めて、決断したいと思います。

親身にまた専門的なご回答をいただき、本当にためになりました。
本当にありがとうございました。

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