掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
大腸がんのRAS遺伝子検査について
cancer twins(埼玉県) 2016/02/18
以前、自分の乳癌の際には、貴サイトのこのご相談コーナーで、大変助けていただいた者です。
おかげさまで、10余年、再発・転移なく、仕事にも復帰できて、生きていられることに感謝の日々です。
あらためて、御礼申し上げます。
そんな私の一卵性双生児の相方(便宜上、妹ですが…)が、このたび、結腸癌とあいなり、数日前に腹腔鏡手術したところです。
現在は、病理検査結果待ちで、摘出した腫瘍の詳細は、まだわかりません。
私の乳癌手術時、HER2因子については、自動的に検査されていました。
妹の場合、RAS遺伝子検査は、乳癌HER2と違って、こちらから、遺伝子検査を主治医にお願いしないといけないのでしょうか?
妹が手術受けた病院は、住まいに近いのはいいのですが、がん拠点病院でない、普通の中規模病院です。
私としては、腫瘍内科のある病院に、いったん転院して、最適な薬物療法を処方いただき、もろもろ落ち着いたタイミングで、その薬物療法レシピを手に、手術した病院に戻って、ルーチン的な投与やフォローアップというのも有りではないかと思いのですが、いかがでしょうか?
私は、BRCA遺伝子検査を、希望して検査していただきました。
RAS遺伝子検査も、BRCAと同じような任意検査なのでしょうか?
ちなみに、BRCA遺伝子の結果は、陰性でしたが、癌になりやすい体質については、双子は遺伝子的に関係性あるのでしょうか…

   
Re:大腸がんのRAS遺伝子検査について
三浦裕司 (東京都) 2016/02/23
都内で腫瘍内科をやっている三浦と申します。
10年余、無再発ということで非常に喜ばしい事ですね。

お尋ねのRAS検査についてですが、HER2陽性乳がんの場合、それに対応するハーセプチンなどの薬剤があるように、大腸がんに対するRAS検査でも野生型という結果が出た場合には、パニツムマブやセツキシマブといった薬剤が使用可能になります。ただし、これらの薬剤は、転移を有したりや根治手術が不可能な大腸がんに対してだけ、効果が証明されている薬剤で、根治切除術後に再発予防の目的での使用では効果がない事が示されております。そういう意味で、乳がんのハーセプチンとは使用方法が異なります。このような理由で、転移を有したり根治切除手術が不可能な大腸がんの患者さんでは、自動的にRAS検査がされることが多いですが、根治切除術後の患者さんでは、検査する必要性がないため、検査は実施されません。

大腸がんの術後の抗がん剤治療については、大腸がんの手術の結果や、患者さんの希望などにより変ってくる可能性がありますので、もしご本人が抗がん剤治療の話し(必要性も含めて)を詳しく聞きたいと言うことであれば、まず主治医の先生にお話を聞いた上で、もし腫瘍内科の話しも参考にしたいと言うことであれば、セカンドオピニオンでご受診する事をお勧めします。
Re:大腸がんのRAS遺伝子検査について
cancer twins(埼玉県) 2016/02/23
三浦先生

今月は、学会の多い月かと(先週も、乳癌の日米合同会議がハワイで開催されていたようですし)存じますが、そんなお忙しい中、丁寧にわかりやすいご説明ありがとうございます。
さっそく、双子の相方に伝えようと思います。
まずは、とり急ぎ、ご返信の御礼まで。
Re:大腸がんのRAS遺伝子検査について
豊田昌徳(兵庫県) 2016/02/23
Cancer twins様

神戸で腫瘍内科と遺伝性腫瘍診療をしている豊田と申します。
お姉さまが乳がんに、妹様が結腸癌になられ、がんになりやすい体質ではないかとご心配なのですね。
一般的に、がんになられた方の中の約5%の方々は、がんになりやすい遺伝子を親から子に引き継いでいることがあると考えられています。
しかしながら、乳がんと大腸がんが同じ遺伝子を原因として発症することはあまり知られておらず、cancer twins様にがんになりやすい体質があるかどうかは、現時点ではわからないとしかお答えできません。また、cancer twins様の場合、ご姉妹のどちらかが がんになりやすい遺伝子をお持ちであった場合、その遺伝子を共有している可能性は高いと考えられます。
現在、日本人の2人に1人はがんに罹患し、乳がんと大腸がんは女性の臓器別がん罹患数の1位と2位ですので、偶然お二人にがんが発症した可能性も十分にあるかと思います。
心配や不安が強まるようでしたら、血縁者のがん家族歴をもう一度確認され、お近くの病院で遺伝カウンセリングをお受けになるのがよいと思います。
掲示板ではこれぐらいしかお答えできませんが、お二人の経過がともによいことを祈っております。
Re:大腸がんのRAS遺伝子検査について
cancer twins(埼玉県) 2016/02/24
豊田先生

三浦先生同様、お忙しい中、ご返答ありがとうございました。
双子の相方は、私の乳癌のことがあったので、そちらにばかり気をとられていて、大腸など他臓器の目配せができなかったと、妹本人も、忸怩たる思いだったことでしょう。
手術自体は、無事終わりましたので、以降の予後が順調に推移するよう、癌体験者として、同じDNAのかたっぽとして、応援していきたいと思っています。
先生方の励まし、御礼申し上げます。

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