掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
ホルモン剤と骨粗しょう症
Katatumuri(大阪府) 2016/03/02
何時も参考にさせていただいています。有難うございます。
アリミデックスを5年飲み終わって4年がたちました。現在無治療の者です。

先日、整形外科で脊椎間板ヘルニアと診断された際、骨密度を測定しました。腰椎では若い人の100%だが、大腿骨頸部では68%で、骨粗しょう症だと言われました。
3年前までは、アリミデックスの副作用を見る為に骨密度を測定していましたが、腰椎正面1か所だけの測定(100%)でしたので、大腿骨頸部の骨密度がいつから下がり始めたのかわかりません。

① 4年たっていますが、アリミデックスの副作用がでてくる可 能性はあるのでしょうか?
股関節が少し悪いので運動不足気味です。大腿骨頸部の骨蜜  度ということで、それが原因ではないかとも思ったりします が。

② 骨細胞が暴走しているタイプだと言われ、ビビアント錠を 処方されました。乳がん患者であること、歯の治療中である ことを告げています。
 インターネット検索すると、抗エストロゲン剤で、乳がん予 防にもなると書かれてあり、乳がん患者に有害とは書かれて ありませんでした。服用して大丈夫な薬でしょうか?
 出来るだけ運動、食べ物で改善していきたいと思いますが、 ヘルニアの症状が出ている間だけは、服用せざるを得ないか なと考えています。

③ 1月の9年目の検査では骨シンチに異常はありませんでしたの で、骨転移ではない前提で相談させていただいたのですが、 部位によって骨密度が極端に違った場合(100%と68%)、骨転移 の可能性は出てくるのでしょうか。

長くなりましたが、宜しくお願い致します。

   
Re:ホルモン剤と骨粗しょう症
横田(海外在住) 2016/03/09
薬剤師の横田と申します。
この度の骨粗鬆症の診断と、過去のアロマターゼ阻害薬による治療の影響について様々なことを心配なさっているご様子、お察しいたします。
katatumuri様のご質問について可能な限り回答させていただきます。

①アリミデックス錠による骨密度への長期的影響について
  まず、骨粗鬆症のリスク要因は、年齢、体重、喫煙歴、骨粗鬆症の家族歴、閉経などアリミデックス錠の内服によるエストロゲンの低下以外にも様々なことを考慮する必要があります。ですので、今回の大腿骨頸部の骨密度低下は一概に副作用であるとは断言できないと思います。
また、乳癌患者さんにおいてアリミデックス錠内服終了後の骨折発生率は、タモキシフェン錠(骨粗鬆症リスクが低い薬剤)を内服した場合と比較して、内服終了後では差がないというデータがあり、治療終了後の骨密度への長期的影響は考えにくいのではないかと思います。

②乳癌患者さんでのビビアント錠内服について
  一般的な骨粗鬆症の治療では、ビスホスフォネート製剤(ボナロン錠、アクトネル錠)というお薬を第一に選択されることが多いのですが、整形外科医からは内服時の注意点、歯科治療への影響などから、閉経後女性に対してはビビアント錠のようなエストロゲン受容体へ作用するお薬を選択されることがあります。
しかしながらビビアント錠については実際に乳癌患者さんが内服した場合のその効果や安全性、乳癌再発リスクへの影響等、不明な点が多いのが現状です。アロマターゼ阻害剤によって生じた骨粗鬆症に対して、ビスホスフォネート製剤の効果は臨床試験でも確認されており、乳がん患者さんに対しては第一選択とされるべきと考えられます。
現在、歯の治療中とのことですが、ビスホスフォネート製剤を開始される場合には、歯科医にもその旨を伝え、歯科治療をビスホスフォネート製剤開始前に終了させておくとよいでしょう。
ビビアント錠は整形外科の先生から処方されたということですが、その点について乳腺の先生はご存知でしょうか。
薬剤の選択が適切であるかどうかは、katatumuri様の骨粗鬆症の状態や再発リスクによっても判断が変わってくるの可能性もありますので、是非一度ビビアント錠でなければならないのか、ということについて両方の先生方と再度お話されることをお勧めいたします。
また、おっしゃる通り骨粗鬆症の治療には、薬剤の内服だけではなく、カルシウムやビタミンDの補充、適度な運動もとても大切です。

③骨密度の低下と骨転移の関連性について
  骨粗鬆症だから骨転移を起こしやすいという確実なデータはありません。1月の骨シンチでは特に異常は認められなかったとのことですので、過度に心配する必要はないかと思います。ご存知かもしれませんが、乳がんの経過観察では定期的な骨シンチやCTによる転移の検索は原則的に推奨されていません。今後については主治医の先生とのよくご相談の上、症状など観察を引き続き継続し、骨転移を疑う症状や所見があった場合に検査を行うのがよろしいかと思います。もちろん、今回の大腿骨頭部の骨密度低下とビビアント錠について、乳腺の先生にお伝えしておくことはとても大切だと思います。

治療終了後も様々なことが心配になってしまいますが、安心して治療を継続できるよう少しでもお役に立てれば幸いです。
Re:ホルモン剤と骨粗しょう症
katatumuri(大阪府) 2016/03/09
丁寧に説明していただき、有難うございます。

主治医に、大腿骨頸部骨密度の結果を知らせ、処方されたビビアント錠について尋ねてみます。

また、なぜ部位によって破骨細胞の暴走の仕方が違い、骨密度に差がでるのか、
整形外科にも尋ねてみます。

有難うございました。、、

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