掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
化学療法による慢性心不全について
ともこ(神奈川県) 2016/08/05
 先生方へ お世話になります。
 以下、末期癌の姉に関する相談です。先が長くないことは重々承知しておりますが、子供が小さく、できる限りの延命をしたいという本人の意志を尊重して相談させて頂きます。
 患者の現状を少しでも改善できる新薬や治療法などがございましたら、ご教示頂きますでしょうか。

<患者情報>
39歳、女性、基礎疾患なし。2011年より乳癌(ステージⅢ)のため化学療法を開始、再発を繰り返し、全身転移。

<主な経過>
2015年夏頃~朝食後に胸が苦しくぜいぜいして会話が困難になるが、横に安静になると緩和。

2016年4月 癌性疼痛により、麻薬性鎮痛薬(オキシコンチン)を投与開始。

5月 長期の化学療法の影響及び肝実質への癌浸潤により、肝機能が低下、胆嚢炎を発症し胆管へステント挿入手術を行った。化学療法を一旦停止。栄養状態(輸液のみ)が悪く2か月で体重が10キロ以上減少。腹水のため、利尿薬(スピロノラクトン、トラセミド)投与開始。

7月~現在 生化学検査値がほぼ正常に戻ったことを確認し、化学療法を再開(セツキシマブ、ラパマイシン)、ただし量は以前の半分に減量。

窒息しそうになる位胸が苦しくなり、酸素吸入を開始。食事後や会話中に増悪、横になり酸素吸入をすると緩和のため、食事・トイレ以外は酸素吸入をして安静にしている。やや頻脈(120~130回/分)、心電図は異常なし。夜間の睡眠が十分にとれ酸素吸入を継続した朝の左室駆出率は60%(そうでないときは、計測はしていないが30%ぐらいに感じるとのこと)。冠動脈の異常や血栓はない模様。麻薬性鎮痛薬(オキシコンチン)により心機能が悪化したのではないかと推測し3日間投与を止めたが、効果はなし。

利尿薬投与(トラセミド2㎎×0.5~1本/日)後の尿量は400ml(自力では100ml未満)、利尿剤の量を少しでも減らすと尿量が満たず、かつ腹水による胃の圧迫が激しいため、利尿剤に完全依存。だが、利尿剤を使用すると明確に胸の苦しさが増悪するように感じる。腎臓のCT・エコー・生化学検査では異常なし、腎高血圧もなしの模様。飲水及び輸液量は1500ml/日であることから輸液量は足りている模様。

 主治医の話では、慢性心不全の原因は、長期の化学療法の影響と考えられるが、現在進行中の化学療法は延命効果が期待できることから、安静や酸素吸入の対処療法のみで対処する他に方法はないとのことです。また、本来は利尿剤の使用を停止すべきだが、目下は利尿剤なしには排尿が困難であり、なすすべがないとのことです。このまま利尿剤を使用し続けて行くと効果が減衰することもあるかもしれません。

 患者の現状を少しでも改善できる新薬や治療法などがございましたら、どんなご意見も歓迎致します。何卒よろしくお願い致します。

   
Re:化学療法による慢性心不全について
IKU(千葉県) 2016/08/08
ともこ様

がん専門病院で看護師をしているIKUと申します。
小さなお子さんのいらっしゃるお姉様の為に、少しでも現状を改善できないかを考え、藁をもすがる思いとの心中をお察しいたします。

直接お身体を診察していない中で、お姉様の治療に関する具体的な方法を提案することはできないのですが、本掲示板に関わる多職種メンバーで、お姉様の現状に関して話し合い、以下のような共通認識を持ちましたので、私が代表してお返事させていただきたいと思います。

まず、現在のお姉様に必要な治療は「緩和ケア」であるということです。
頂いている情報から、心不全の原因を特定するのは難しいのですが、お身体がかなり辛そうな状況は判断できます。可能であれば、主治医だけでなく、緩和ケア医や循環器医等も含めた医療チームで、少しでもお身体を楽にできる方法を検討することが重要であると思います。

また、がんに対する治療方法に関してですが、科学的根拠のある具体的な方法をお示しするのは難しい状況であります。一般的には、お姉様ほどお身体の辛さがある患者さんには、抗がん剤治療などをお勧めしない現状があります。抗がん剤から得られるメリットよりデメリットのほうが大きいと判断するからです。抗がん剤治療には副作用がつきものですから、このような状況で治療を行うと抗がん剤のせいで命を縮めてしまうことにもなりかねません。

・お姉様はそのようなこともご理解されたうえで「延命(=積極的に抗がん剤治療などをすること)」を望まれているのでしょうか?
・「先が長くないということはご理解されている」とのことでしたが、お姉様は残された人生をどのようお過ごしになりたいとお考えなのでしょうか?
・現在のお身体の状況で、大切なお子様と過ごす時間は十分に確保できているのでしょうか?

このようなことを話し合われた上で、今後の人生をどのようにしたいか考え、病気との向き合い方を決めていくことができればと考えます。

お姉様のお身体の辛さが改善し、少しでもお姉様らしい人生を送ることができるよう、心から祈っております。
Re:化学療法による慢性心不全について
ともこ(神奈川県) 2016/08/09
IKU先生、多職種メンバーの先生方へ 

お世話になります。お返事を頂きありがとうございます。
温かいお言葉を頂き、涙が出てしまいました。本人が一番苦しいと思いますが、家族は代わってあげられない分辛いです。

姉は何時でもあの世へ行けるよう身辺整理等をした上で、命の限界に挑戦したい、限界まで挑戦したら諦めもつくのだという気持ちでおります。甥は現在小学校3年生ですが、姉は闘病生活の中、自らの手で子育てをすることは困難でした。なので、せめて最後まで諦めないで頑張る姿を子供に見せたいと思っているようです。

現在、抗がん剤(セツキシマブ、ラパマイシン)投与の3サイクル目ですが、投与量は少ないものの効果はあり、特に肝臓や腹部の腫瘍サイズが大幅に減少して予後が良いと判断したようです。上記の抗がん剤は、心臓への影響を最小限にと投与量を慎重に管理するとのことです。

昨日、循環器内科の先生より、様々な原因で心臓の機能が低下し、腎臓へ供給する血液量が不足したため尿を造ることができなくなったのではないか、という説明を受けましたが、心臓の機能を低下させた原因は、抗がん剤以外にも考えられるのでしょうか。思えば、5月に胆嚢炎を発症した際、ステロイド剤(メチルプレドニゾロン)を最大で80㎎/日;モキシフロキサシン、セフォタキシム、ラタモキセフなど7種類以上の抗生物質を1か月半も使用しておりました。その頃から、胸の息苦しさが増したような印象を受けました。以前は息苦しくなれば、横になって休むだけで収まりました。しかし、あの頃から酸素吸入をしないと窒息しそうになりました。現在はいずれも使用しておりませんが、もし、過去のステロイド剤や抗生物質の長期使用が原因だとしたら、現時点で何か対処できることは可能でしょうか。

よろしくお願い致します。

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