掲示板「チームオンコロジー」
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患者と医療者のコミュニケーション
ネット情報の見分け方
らんらん (千葉県)
2016/09/08
同じことでも、サイトによって正反対のことが書いてあることも散見します。
病院やクリニックのホームページ、製薬会社のホームページ、、がん情報サービスにリンクしているサイト、など信頼性が高そうなサイトを選んではいますが…。
ネット情報の信頼性はどのように判断したらいいでしょうか?
重要なことに絞れば印刷して主治医の先生に聞くのが一番だと思いますが、診察時間内で全部聞くわけにもいかないので、
ある程度選別できるコツがあったら教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
病院やクリニックのホームページ、製薬会社のホームページ、、がん情報サービスにリンクしているサイト、など信頼性が高そうなサイトを選んではいますが…。
ネット情報の信頼性はどのように判断したらいいでしょうか?
重要なことに絞れば印刷して主治医の先生に聞くのが一番だと思いますが、診察時間内で全部聞くわけにもいかないので、
ある程度選別できるコツがあったら教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
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Re:ネット情報の見分け方
U(東京都)
2016/09/08
最近読んだ本で、ご質問の役に立ちそうな面白い内容が記載されていたので一部ご紹介します。
「がんとともに、自分らしく生きる ―希望をもって、がんと向き合う『HBM』のすすめ―」高野利実 著(きずな出版)
https://www.amazon.co.jp/dp/4907072589
長文になりますが以下転載(一部改編)
=====================================================
いま、あなたには、赤(治療Aを受ける)という選択肢と、白(治療Bを受ける)という選択肢が用意されています。ここで中身の見えない一つの箱が登場します。箱の中には合わせて1000個の赤いボールと白いボールが入っています。あなたが赤か白を選択した後に、主治医が箱の中からボールを取り出します。あなたが選択した色と同じ色のボールが出たら治療が成功したということです。
(1) 色を選択する→治療法を選択する
(2) ボールを取り出す→治療を実施する
(3) 色を見る→治療の結果がわかる(同じ色なら良い結果)
ここで、中身の見えない箱を前にして、あなたと医師の相談が始まります。7人の医師がそれぞれ次のような説明をします。
医師① 「赤を選ぶべきです。私には、赤いボールを引き寄せる特殊な能力があるので、それを信じて下さい」
医師② 「赤を選ぶべきです。うちの教授が『赤だ』と言っているので間違いありません。」
医師③ 「赤を選ぶべきです。テレビで赤がいいと言っていたから、絶対に赤がいいはずです。」
医師④ 「どっちでも好きな方を選んでください。私にはどちらがいいかわかりません」
医師⑤ 「赤を選ぶべきです。この箱を試験管に置き換えて実験をしたら、何度繰り返しても赤い物質が出ました」
医師⑥ 「赤を選ぶべきです。さっきこの箱から1個取り出したら、それは赤いボールでした」
医師⑦ 「どちらかというと白を選ぶ方が良いと思います。さっきこの箱から100個ボールを取り出してみたら、赤が40個、白が60個でした」
さて、あなたならどの医師の言葉を信じますか?医師①、②、③は、科学的に予測しようとせずに、特殊能力、教授の言葉、マスメディアの情報のみを根拠に赤をすすめていますので、選択の根拠として信頼度が高いとは言えません。科学的に予測が不可能な場合、医師④の答えは正しいのかもしれません。医師⑤、⑥、⑦は科学的に予測してそれを根拠に見解を示していますが、このうち信頼度の高い根拠はどれでしょう?医師⑤が示している結果は基礎実験と呼ばれるもので、試験管で成功してもそれがヒトの結果にも反映されるかを確かめるには、さらなる研究が必要になります(ヒトで成功するのはほんの一握りです)。医師⑥が示している結果は、症例報告というもので、医師⑤とは違い、箱そのものから取り出してはいるのですが、大部分を代表した1個なのか、特別な1個なのか分かりません。このように、医師⑤、⑥の示した根拠は科学的には質の低いものと考えられます(しかし、日本のメディアではこれらの情報が重宝されることが多いです)。信頼度の高い根拠という基準で選ぶとしたら、医師⑦の言葉が最も信頼できることとなります。「どちらかというと、、、」と何だか頼りないように聞こえがちで、根拠はともかくズバッと断言する医師の方が世の中の受けはよさそうですが、患者さんに本当に必要なのは、EBM*の考え方になります。
=====================================================
*EBM(Evidence based medicine): エビデンスに基づく医療:この本では、「医学の世界で"正しさ"や"質の高さ"を相対的に評価する共通のモノサシを"エビデンス"、ルールのことを"EBM"と言います」と説明されています。
「がんとともに、自分らしく生きる ―希望をもって、がんと向き合う『HBM』のすすめ―」高野利実 著(きずな出版)
https://www.amazon.co.jp/dp/4907072589
長文になりますが以下転載(一部改編)
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いま、あなたには、赤(治療Aを受ける)という選択肢と、白(治療Bを受ける)という選択肢が用意されています。ここで中身の見えない一つの箱が登場します。箱の中には合わせて1000個の赤いボールと白いボールが入っています。あなたが赤か白を選択した後に、主治医が箱の中からボールを取り出します。あなたが選択した色と同じ色のボールが出たら治療が成功したということです。
(1) 色を選択する→治療法を選択する
(2) ボールを取り出す→治療を実施する
(3) 色を見る→治療の結果がわかる(同じ色なら良い結果)
ここで、中身の見えない箱を前にして、あなたと医師の相談が始まります。7人の医師がそれぞれ次のような説明をします。
医師① 「赤を選ぶべきです。私には、赤いボールを引き寄せる特殊な能力があるので、それを信じて下さい」
医師② 「赤を選ぶべきです。うちの教授が『赤だ』と言っているので間違いありません。」
医師③ 「赤を選ぶべきです。テレビで赤がいいと言っていたから、絶対に赤がいいはずです。」
医師④ 「どっちでも好きな方を選んでください。私にはどちらがいいかわかりません」
医師⑤ 「赤を選ぶべきです。この箱を試験管に置き換えて実験をしたら、何度繰り返しても赤い物質が出ました」
医師⑥ 「赤を選ぶべきです。さっきこの箱から1個取り出したら、それは赤いボールでした」
医師⑦ 「どちらかというと白を選ぶ方が良いと思います。さっきこの箱から100個ボールを取り出してみたら、赤が40個、白が60個でした」
さて、あなたならどの医師の言葉を信じますか?医師①、②、③は、科学的に予測しようとせずに、特殊能力、教授の言葉、マスメディアの情報のみを根拠に赤をすすめていますので、選択の根拠として信頼度が高いとは言えません。科学的に予測が不可能な場合、医師④の答えは正しいのかもしれません。医師⑤、⑥、⑦は科学的に予測してそれを根拠に見解を示していますが、このうち信頼度の高い根拠はどれでしょう?医師⑤が示している結果は基礎実験と呼ばれるもので、試験管で成功してもそれがヒトの結果にも反映されるかを確かめるには、さらなる研究が必要になります(ヒトで成功するのはほんの一握りです)。医師⑥が示している結果は、症例報告というもので、医師⑤とは違い、箱そのものから取り出してはいるのですが、大部分を代表した1個なのか、特別な1個なのか分かりません。このように、医師⑤、⑥の示した根拠は科学的には質の低いものと考えられます(しかし、日本のメディアではこれらの情報が重宝されることが多いです)。信頼度の高い根拠という基準で選ぶとしたら、医師⑦の言葉が最も信頼できることとなります。「どちらかというと、、、」と何だか頼りないように聞こえがちで、根拠はともかくズバッと断言する医師の方が世の中の受けはよさそうですが、患者さんに本当に必要なのは、EBM*の考え方になります。
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*EBM(Evidence based medicine): エビデンスに基づく医療:この本では、「医学の世界で"正しさ"や"質の高さ"を相対的に評価する共通のモノサシを"エビデンス"、ルールのことを"EBM"と言います」と説明されています。
Re:ネット情報の見分け方
らんらん (千葉県)
2016/09/09
ありがとうございます。
何となくは分かるのですが…。
サイトの情報はほとんど信用できないということですか?
エビデンスの高い情報って中々載ってないですが、素人でも見れる日本語のサイトがありましたら教えてください。
何となくは分かるのですが…。
サイトの情報はほとんど信用できないということですか?
エビデンスの高い情報って中々載ってないですが、素人でも見れる日本語のサイトがありましたら教えてください。
Re:ネット情報の見分け方
U(東京都)
2016/09/09
おそらく、らんらんさんが既に見られてる「がん情報サービス」(http://ganjoho.jp/public/index.html)や製薬会社のホームページが情報源としては無難なものだと思います。
すべての情報を疑ってかかれというわけではないですが、ご自身で考えるのをやめて(思考停止)しまったら、結局はご自身の納得のいく答えにはたどり着かないのではないかと思います。
ネットも本もテレビも新聞も、もしかしたらこの掲示板も主治医でさえも、これは信じることができるかな、っていう「自分なりのモノサシ」を持って判断することが大事なのだと思います。ご紹介したのは、医学の世界で使われてるEBMというモノサシです。もちろん専門家と同じレベルでこのモノサシ(EBM)を使いこなす必要はありません。ただ、どういうものかをある程度理解しているだけでも、情報を見分けるコツになると思いますし、自分なりのモノサシにこのEBMの考え方を組み込むことをお勧めします。
例えば、「私のやっているAという治療法でがんが治りました」という情報があれば、それは、そのAという治療法を受けた何人中何人が治ったか、という情報が示されてなければ信用できない(前回の投稿での、医師①や医師⑥の可能性がある)、という感じです。
ただ、世の中に溢れる情報をお一人で判断していくのは、本当に孤独な作業になると思うので、できればEBMのモノサシを理解している医療者(らんらんさんの病院の医療者がそうであることを祈ります)をパートナーに持って二人三脚でやっていくのが良いかと思います。
すべての情報を疑ってかかれというわけではないですが、ご自身で考えるのをやめて(思考停止)しまったら、結局はご自身の納得のいく答えにはたどり着かないのではないかと思います。
ネットも本もテレビも新聞も、もしかしたらこの掲示板も主治医でさえも、これは信じることができるかな、っていう「自分なりのモノサシ」を持って判断することが大事なのだと思います。ご紹介したのは、医学の世界で使われてるEBMというモノサシです。もちろん専門家と同じレベルでこのモノサシ(EBM)を使いこなす必要はありません。ただ、どういうものかをある程度理解しているだけでも、情報を見分けるコツになると思いますし、自分なりのモノサシにこのEBMの考え方を組み込むことをお勧めします。
例えば、「私のやっているAという治療法でがんが治りました」という情報があれば、それは、そのAという治療法を受けた何人中何人が治ったか、という情報が示されてなければ信用できない(前回の投稿での、医師①や医師⑥の可能性がある)、という感じです。
ただ、世の中に溢れる情報をお一人で判断していくのは、本当に孤独な作業になると思うので、できればEBMのモノサシを理解している医療者(らんらんさんの病院の医療者がそうであることを祈ります)をパートナーに持って二人三脚でやっていくのが良いかと思います。
Re:ネット情報の見分け方
らんらん (千葉県)
2016/09/10
ありがとうございます。
製薬会社は無難な情報なのですね。
EBMの考え方で情報も選別していきたいです。
製薬会社は無難な情報なのですね。
EBMの考え方で情報も選別していきたいです。
Re:ネット情報の見分け方
はし(神奈川県)
2016/09/12
薬剤師のはしともうします。
情報の見極めは大変難しいですよね。特に医療情報は不確定なものが多いので、「絶対に正しい」や「絶対に間違っている」というものよりも「おそらく正しいだろう」や「間違っている可能性が高いだろう」というような情報が多いように感じます。
これらの「白」や「黒」ではない「グレー」の情報に出会った時にどのように考えるかがポイントになると思っています。
厚生省の推進事業の一つに「統合医療情報発信サイト」というものがありその中で、「情報の見極め方」に関する説明があります。
たいへんまとまっていて分かりやすいと思いますのでご一読頂けると、情報の見分け方に対する理解が深まるのではと思います。
ご参考までに。
http://www.ejim.ncgg.go.jp/public/hint/index.html
情報の見極めは大変難しいですよね。特に医療情報は不確定なものが多いので、「絶対に正しい」や「絶対に間違っている」というものよりも「おそらく正しいだろう」や「間違っている可能性が高いだろう」というような情報が多いように感じます。
これらの「白」や「黒」ではない「グレー」の情報に出会った時にどのように考えるかがポイントになると思っています。
厚生省の推進事業の一つに「統合医療情報発信サイト」というものがありその中で、「情報の見極め方」に関する説明があります。
たいへんまとまっていて分かりやすいと思いますのでご一読頂けると、情報の見分け方に対する理解が深まるのではと思います。
ご参考までに。
http://www.ejim.ncgg.go.jp/public/hint/index.html
Re:ネット情報の見分け方
らんらん (千葉県)
2016/09/12
はし様、ありがとうございます。
サイト、とてもわかりやすく参考になりました。
サイト、とてもわかりやすく参考になりました。
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