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治療とその選択
DCIS 5年後の再発
Kay(海外在住) 2017/07/05
5年前に"非浸潤性乳がんの補助療法無しによる再発率について"質問させていただいた者です。

2012年8月に非浸潤がんの左乳頭乳輪温存皮下乳腺全摘出の手術をアメリカロサンゼルスで受けました。2012年6月の定期マンモで石灰化が見つかりました。術前術後の病理検査はともに非浸潤でしたが、グレード3のコメド型でした。乳頭からは離れた皮膚に近いupper left superiorに広がる石灰化でした。術後唯一言われたのはER(3+)PR(1+)の標準治療であるホルモン剤治療でした。オプショナルだったため、術後なんの補助療法もしませんでした。以降毎年ロサンゼルス、転居先のピッツバーグで定期検査を受けていましたが、昨年の検査以降、痛みを伴う乳頭からの異常分泌が続き (絞れば出る程度)、今年5月に新たな転居先のニュージャージーで受けたマンモで異常を指摘され、MRI+マンモトームでDCISが確定されました。

問題箇所は乳頭直下の微小石灰化 (6/30 DCIS確定)と今年のマンモで初めて映ったleft posterior upper aspect 石灰化(乳腺がないはずなのででどこに石灰化があるのかわかりません、再建に使った臀部脂肪か胸筋か?)です。5年前の手術時に左臀部の脂肪移植による同時再建を受けた際、胸骨の一部を切り取って今回問題になっているエリアからの血管を脂肪組織に繋げたと記憶しています。この石灰化は、乳頭直下のDCISが広がったものでしょうか。奥深すぎて、biopsyが出来ないと言われています。

質問は、この奥深い石灰化が乳がんによるものの場合、取る乳腺がないので、何が標準治療となるのでしょうか。また今回のDCISは5年前の再発なのか新たなDCISなのでしょうか。乳頭直下の石灰化に対しては2週間後に乳頭乳輪の摘出の予定です。

5年前の手術pathology レポートの記載と、先日出たマンモ及びマンモトームのレポートをコピーします。よろしくお願いいたします。

8/22/12 surgical pathology report
Final diagnosis
-DCIS, cribriform, comedo, and solid types, with central necrosis, high nuclear grade
-Size of DCIS: 3.8 cm
-Surgical margins:
0.3 cm from the anterior margin
0.4cm from the posterior margin
All other margined appear negative for carcinoma
-lymph/vascular invasion: not definitively identified
-negative for invasive carcinoma
-ER >95% 3+ PR<1% 1+

6/27/17 FINAL PATHOLOGY REPORT
DIAGNOSIS
STEREOTACTIC NEEDLE CORE BIOPSY OF LEFT BREAST:
INTRADUCTAL CARCINOMA, PAPILLARY AND SOLID TYPE WITH FOCAL MINIMAL LUMINAL NECROSIS, INTERMEDIATE TO HIGH NUCLEAR GRADE, CONTAINING RARE MICROCALCIFICATIONS (SEE COMMENT)
ESTROGEN AND PROGESTERONE RECEPTORS ARE PENDING ON PARAFFIN BLOCK 1A AND AN ADDENDUM REPORT TO FOLLOW

COMMENT: SEVERAL DEEPER SECTIONS EXAMINED AND NO MORE MICROCALCIFICATIONS IDENTIFIED

6/14/17 Diagnostic Mammography report
IMPRESSION: Reconstructed left breast. There are two groups of calcifications identified as described above. The most inferior and inner group compared to a present previously supporting benign etiology. The calcifications in the upper outer aspect are not appreciated previously,
however it may related to differences in technique. The calcifications do a probably benign been seen due to differences in positioning. It may represent fat necrosis. Follow-up left mammogram is recommended in six months. Results were discussed with the patient.

6/30/17 Diagnositic Mammography addendum report
In view of the appearance of the nipple, this raises concern for the group of calcifications that was identified at the very superior posterior aspect of the reconstructed breast. These calcifications were difficult to demonstrate because of the very posterior location. Rather than follow-up, I would recommend a biopsy these calcifications. If a stereotactic core biopsy cannot be
performed, needle localization with excision would be recommended.

IMPRESSION: Abnormal microcalcifications within the nipple that is known to be abnormal by MRI in a patient with nipple sparing mastectomy, status post reconstruction with abnormal nipple discharge. There is concern for malignancy. In view of the findings identified in the nipple, further evaluation recommended this time for the calcifications in the very superior outer left breast. A biopsy is recommended.

Re:DCIS 5年後の再発
Oz(東京都) 2017/07/06
Kay様へ、初めまして。腫瘍内科医のOと申します。
今回の病気のことで、大変な思いをされていると拝察致します。
ご質問内容について、外科の先生を含めたチーム内で検討した結果、以下のような見解がありましたので、ご参考になれば幸いです。

石灰化がDCISだった場合、そこにはわずかな乳腺組織が残っていると考えられ、周囲の組織、場合によっては移植した脂肪組織を含めた切除が標準治療になります。切除した病変の病理結果によって薬物療法や放射線治療の適応となることが有るかもしれません。
乳房を全摘してしまえば乳腺は全く残っていないと考えがちですが、従来通りの全摘術であっても、わずかに乳腺組織は遺残しますし、乳頭や皮膚を残す術式ほど乳頭内や皮下組織内に乳腺が残ります。乳房の手術後も残った乳腺組織に乳癌が遺残し再発する可能性や、そこから新たに乳癌が発生する可能性はゼロになりません。
今回のDCISが5年前の再発か、新たなDCISかは分かりません。前回手術時の病理レポートでは断端は陰性となっていますので、新たなDCISと考えて良いと思いますが、5年前に乳頭を切除して病理学的検査をしていたら、そこに癌が見つからなかったかどうかは分かりません。

いずれにしても、私共は実際の診療に携わっておらず、確定的なことは申し上げることは難しいです。上記内容をご参考にしてただき、主治医の先生とよく相談していただくのがよろしいかと思います。
Re:DCIS 5年後の再発
Kay(海外在住) 2017/07/07
O先生、
ご丁寧な回答をしていただきありがとうございました。
昨日外科医に会い、ほぼ同様の説明を受けました。移植した脂肪組織も残せないだろうとも言われました。素人的には、もともと移植で入れたんだから、また外して入れ直せないものか、と思ってしまうのですが、それは無理なのでしょうか?自家組織だったからこそ今回マンモが受けられて、乳頭直下及び奥の石灰化が見つけられたわけで、なんとか自家組織を残したいと思っています。明日、奥の石灰化を調べるべくもう一度マンモトームをすることになりました。外科医はなんとか石灰部を取るよう努力すると言っていました。結果が出次第、また投稿させていただきます。
因みに現在通院している病院は、昨年MD Andersonと提携したSummitMedicalGroupと言います。
Re:DCIS 5年後の再発
Sy(福岡県) 2017/07/08
Kay様、はじめまして。Syと申します。

御返事を有難うございました。ご質問の内容については、実際の診察を行っていないこと、セカンドオピニオンに該当することは御返事できないことなどの理由により、一般論としての御返事になりますことをご容赦ください。チームで話し合った結果の回答は以下の通りです。

癌を取り残さない為には画像診断で癌が存在すると思われる部位の周囲の正常組織も切除範囲に含む必要があり、切除範囲に移植した脂肪組織が広範に含まれるか、移植した組織を養う血管が含まれる場合、移植した脂肪組織を残すのは困難です。生着した移植組織の栄養血管を切離した場合、血管の再吻合は非常に困難(一般的には不可能)で、脂肪壊死を起こしてしまう可能性が非常に高いのです。

移植した脂肪組織に対する方針につきましても主治医の先生や再建に携わる形成外科の先生に Kay様のご希望を伝えていただくのはどうでしょうか。Kay様がご想像の方法以外にも手段があるかもしれません。Kay様の治療がよい形で進みますことを遠方よりお祈り申し上げます。
Re:DCIS 5年後の再発
Kay(海外在住) 2017/07/11
Sy先生、
ご丁寧なお返事をありがとうございました。先週金曜日にもう一箇所のマンモトームを外科医が試みましたが、"皮膚に近く"石灰化された細胞を採取できませんでした。それまでは"very superior posterior aspect"で移植した脂肪をどけないと残っているであろう乳腺は取り除けないと言われていたのに、 かなり戸惑っています。担当外科医に何度も聞いたのですが、radiologistの最初の石灰化locationの見解が間違っていたとは言わないため、此の期に及んで石灰化のできた場所が不明となっています。このような場合、どうしたら良いのでしょう。明後日に、乳頭乳輪切除及びもう一箇所の"皮膚に近い"石灰化を開いて切除する予定です。外科医は移植した脂肪は残せると言っています。
Re:DCIS 5年後の再発
濱嶋 (海外在住) 2017/07/13
「石灰化のできた場所が不明となっています。このような場合、どうしたら良いのでしょう?』とのご質問についてですが、通常場所が特定できないまま、生検(組織の採取)または切除をすることは考えにくいので、担当医の先生に”なぜ深い位置に存在すると考えられたのか、なぜ皮膚に近い病変と判明したのか”、MRIの結果と合わせて質問をしてみてはいかがでしょうか?

5月に転居・転院されたばかりとのことで慣れない環境で不安も多いかと思いますが、Kay様が疑問に思う点を明確にしていくことが大切かと思います。すでに実施しているかもしれませんが、診療時に質問内容を英語で書いておく、説明内容が複雑で医療英語等わかりにくい場合には、説明を書いてもらう、携帯で録音して後で聴き直せるようにする、または病院の通訳サービスの活用。診療時に聞き忘れたこと、家に帰って分からないことがあればSummit Medicalのポータルサイトのメールを利用して確認するなど、納得いくまで今の治療チームと話し合いをすることが重要かと思います。

話し合いをした上で、切除の方法だったり、脂肪組織を残せるかなど治療方針に関して現在の担当医の説明・判断に疑問が残る場合には、セカンドオピニオンの活用なども検討してもいいかもしれません。(ご加入の保険で他施設での受診がカバーされるかを事前に確認する必要はありますが、患者さんが治療選択を迷う場合には医師も活用を勧めますし、アメリカでは主治医からの紹介状なしにself referral という形でセカンドオピニオンの受診も可能だと思います。)

Kay様が納得されて治療にのぞまれることをチーム一同願っております。
Re:DCIS 5年後の再発
Kay(海外在住) 2017/07/13
濱嶋先生、

ご丁寧なお返事を頂きまして、ありがとうございました。
本日乳頭乳輪の切除及びsuperior posterior aspectの石灰化切除の日帰り手術を受けました。

マンモトーム後の説明が納得いかなかったので、ポータルで2日前に外科医に再度問い合わせたところ、詳しい回答があり、1番心配していた、新たな別の箇所の石灰化へのマンモトームで、先に発見されたsuperior posteriorの石灰化の放置、などない、最初に診断された同じ箇所の石灰化へのマンモトーム、とのことでした。

本日術前に再度のマンモで1時間以上かけてneedle localizationによる石灰化部位の特定をradiologist と技師が試みましたが、場所の特定が出来ず、needle localizationは無理でした。技師にも同じ質問をしたところ、写真を撮ろうとしているマンモトームの傷跡あたりは、どうみてもsuperiorな位置ではないのですが、かなりのlateralサイドで写真に入りにくく、この箇所を、皮膚に近くてもposteriorと呼ぶという説明でした。最初からMLOの写真にしか写らないと言われていて、写真の撮り方によってはsuperiorかも、という感じでした。

Second opinionも考えましたが、どこに行っても先生次第ですし、ネットで評判が良くても自分と相性が合わなければcommunicationもうまく取れないため、時間をかけて1から出直しはやはり気が重く、今の外科医を信用していないわけではなく、正しい情報が欲しかっただけなので、そのまま予定通り手術してもらいました。

結局、皮膚の上のmarkingのみで手術に望みました。1時間半程の手術で、全て取り切れているかは神のみぞ知るです。大きなdressingの上からしか分かりませんが、脂肪組織もそれなりに残っているようです。皮膚はどの位切除されたか、開けてびっくりかもしれません。このような症例の場合、術後の補助療法は何を考慮に入れておいた方がいいのでしょう。

病理の結果が出次第、また投稿させていただきます。よろしくお願いいたします。
Re:DCIS 5年後の再発
はし(神奈川県) 2017/07/17
Kay様
はしと申します。
無事に日帰り手術を終えられたとのことでお疲れ様でした。
今後主治医とディスカッションする際に以下の点がポイントになるかと思います。

- 病理の結果や病歴をふまえて、心配される再発のリスクはどの程度なのか?
- 補助療法は推奨されるのか?
①もし推奨される場合には ex) A. 再発のリスクをどれくらい下げることが期待されるのか?(先生に具体的な数字を聞いてみてもいいと思います。) B. どのような薬剤をどんなスケジュールで投与する必要があるのか? C. 起こり得る副作用にはどんなものが挙げられるのか? 
②補助療法をしない場合にはどのような形でのfollow up が必要なのか。
③補助療法の是非に関して判断に迷う場合には、医師にもしも自分だったら補助療法を選択するか?などと問いかけて見るなど。


実際にKay様の診察をさせていただいているわけではないことから、掲示板上で詳細なご回答を差し上げるのは難しいかと思います。また、セカンドオピニオン的な内容に関してはこの掲示板の趣旨から外れることをご理解いただければと思います。

Kay様が主治医とディスカッションの上、ご納得されて治療に望まれることを願っております。
Re:DCIS 5年後の再発
Kay(海外在住) 2017/07/17
はし先生、
ご丁寧なお返事ありがとうございました。
今週follow up で病理の結果が出次第、外科医に会うはずですので、先生に書いていただいた質問事項を持参して望みます。
術後の状態ですが、5年前に移植した臀部脂肪を、乳頭乳輪直下及びその周りをかなりえぐり取られていて、そこより体中心に向かっては柔らかく残っているのですが、そこより外側はlateralサイドの石灰化部位の除去もあり傷だらけで硬直しています。赤みがかっているようにも見えますし、痛みがひどく、ですが熱などはなく炎症ではないと思います。考えたくないですが、これは脂肪壊死でしょうか。週末で外科医とは連絡も取れず週明けまで待つのが辛いです。お返事をいただけたら幸いです。
Re:DCIS 5年後の再発
Sy(福岡県) 2017/07/18
Kay様、お返事が遅くなり週明けの回答となりましたことをお詫び申し上げます。痛みがひどいとのこと、お辛い状況かと存じます。ご心配の症状につきまして、直接診察をさせていただいていない立場としては何とも申し上げられません。主治医の先生へご連絡されてはいかがでしょうか。
Re:DCIS 5年後の再発
Kay(海外在住) 2017/07/18
Sy先生、
再度のお返事を頂きありがとうございました。
昨日月曜に急遽アポを取って、外科医に診てもらいました。
外科医の意見としては、脂肪壊死ではなく、硬く感じるのはlateralサイドの処置による血液の塊ではないか、赤みがかっているようには見えない、脂肪組織はlateralサイドに関しては、表面のみの処置で脂肪組織奥まで触っていない、とのとこでした。真ん中をえぐったため、左半分への血流が止まり脂肪壊死を起こした可能性を聞きましたが、明確な返事をしませんでした。病理の結果は、乳頭乳輪エリアに関しては、浸潤部はみられず、大きめに取ったマージンもクリアとのこと(外科医はとても満足そうでした)、lateralサイドに関しては、おそらく良性だが、まだ組織を細かくして調べている最中とのことでした。整容性は殆ど考慮せず、がんの完全除去のみが最大の目的としている先生で、流石に2度目ですので異論は唱えませんでしたが、今は術後の整容性に関して何もお願いしなかったことに、少し後悔しています。痛みは2日前に比べればかなりひひていますが硬さは残っています。一塊の脂肪組織の中でも半分だけ壊死を起こす事はあるのでしょうか。お返事を頂けたら幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
Re:DCIS 5年後の再発
TM(千葉県) 2017/07/18
Kayさま

こんばんは。千葉県で腫瘍内科をしているものです。

内科医ですので、脂肪壊死について詳しくないですし、実際に診察をさせていただいていないところで、その可能性について、お話するのは適切でないと思っています。

掲示板で我々がKayさまと一緒に目指すところは、前回、主治医の先生が「明確な返事をしませんでした」というところを、今度会われるときに、上手く聞けるようにする、ことかと思います。

「明確な返事をしなかった」理由は分かりませんが、推測するに、術後早期の現時点では、判断をしかねる、ということかもしれません。

次に会われるときに、やはり脂肪壊死についてとても心配であること、もしその可能性があり今すぐははっきり分からない場合は今後どのような時期に、どういうことで判断していけばよいか(症状の経過なのか、エコーをするのか)を、冷静にdiscussionすることをお勧めします。

医療者としての立場で言うと、その場では分からず、経過の中で判断していかざることは沢山あります。そんな場面で、歩幅を合わせて一緒に取り組んでいけるかが、医療者側、患者さん側の双方のチーム力だと思います。

余談ですが、最近、とても気持ちいいな、と思った患者さんからの質問は、「じゃ、私のほうで気をつけておく症状はなんですか?」というものでした。何気ない一言ですが、医師、患者という立場でありながら、お互いひとつの問題に取り組んでいるチームなんだ、と感じさせる一言でした。

主治医と同じ問題に対して、同じチームとしてやっていく、という雰囲気が作られればこっちのものだと思います。英語でなんという言葉がよいのか分かりませんが、次のvisitまでに作戦を練られてはいかがでしょうか。

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