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治療とその選択
筋膜切除後の断端陽性
ようこ(兵庫県) 2018/03/19
非浸潤性乳がんの診断をうけ、乳頭乳輪温存皮下乳腺全的術を受けました。
病理の結果も非浸潤性乳がんだったのですが、深部側断端が僅かに陽性でした。
深部側は大胸筋膜を切除しております。
放射線治療の追加を提案されましたが、追加切除は難しいのでしょうか。
また、放射線療法後にホルモン療法をさらに追加した方がよいのでしょうか。

   
Re:筋膜切除後の断端陽性
T(茨城県) 2018/03/23
ようこ様へ。乳腺外科医の立場からコメントいたします。

術後の病理結果で断端陽性と診断されてたとのこと、今後の対応が悩ましいですね。
実際に、筋膜は切除をしていても、病理の判定では断端陽性となることは確かに経験することがあります。その場合、本当に取り残しが疑われる断端陽性なのか、断端陽性とは言われていても、ほぼ取り残しはないと考えられる状況なのかは、手術を行った外科医と病理の診断をしている医師の連携による判断が最も重要だと考えられます。その判断によって、また断端陽性と判断される範囲や部位、癌の性状によって、追加切除を検討すべきなのか、放射線治療を行うのがよいのか慎重に検討されるのだと思います。

非浸潤癌といえど、ホルモン受容体陽性の場合にはホルモン治療の適応があります。その意義としては局所再発の予防、病理学的には判定できなかった浸潤癌がある可能性も踏まえ転移の予防(転移のリスクは非浸潤癌では少ないですが0%ではないため)、対側の乳癌の予防効果などを期待します。断端陽性の可能性がある場合には局所再発予防の意義が相対的に大きくなると思われますが、これも受容体の発現状況にもよって効果が異なる可能性があります。

今回、ようこ様の状況で、主治医の先生がなぜ手術ではなく、放射線治療を提案されたのか、ホルモン治療を行う意義に関して今一度お話を伺ってみられてはいかがでしょうか。

場合によっては、セカンドオピニオンなどを検討されるのもよいかもしれません。その場合であってもまずは主治医の先生の意図をしっかりとご理解されていくことをまずはおすすめいたします。

ようこ様が今後も納得してよい治療が受けられますように。
Re:筋膜切除後の断端陽性
ようこ(兵庫県) 2018/03/23
回答頂きありがとうございます。
再度状況を確認したのですが、主治医は、”筋膜を剥離するようにしているので、追加切除する部分がない(これ以上は筋肉を切るしかない)。念のため放射線をして、副作用が軽ければホルモン療法もしましょう”と仰っています。
ERがほぼ100%なので、ホルモン療法の効果も期待できるとのことでした。(HER2は評価なし、KI67は2%でした)
主治医は全摘の病理で深部断端陽性となったのが、今回初めての経験だそうで、”出来ることは全部しましょう”というスタンスです。
私は、放射線治療がなく、再建が綺麗に仕上がると説明されたので、皮下乳腺全摘を選んだため、今回の状況は納得いかないものですが、局所再発のリスクが高いならば、やるしかないと考えています。
現在、ティッシュエキスパンダーが挿入されておりますが、この状態で放射線治療を受けても大丈夫なものなのでしょうか?乳腺と形成の先生は”再建後でも副作用のリスクは同じだからすぐ開始するように”と言われ、放射線の先生は”エキスパンダー挿入中の照射はガイドラインでC2なので再建後開始がよい”と言われ、混乱しています。
Re:筋膜切除後の断端陽性
T(茨城県) 2018/03/23
ようこ様

再度のご投稿を拝見いたしました。
放射線治療をすべきか、する場合にはエキスパンダーのうちでも良いのか・インプラントに入れ替えをしてからが良いのか、外科医・形成外科医・放射線科医で意見が統一していないことによる不安と混乱ですね。

乳房再建後の放射線治療に対する研究、特に合併症だけでなく整容性への影響を含めた研究は今もって多くはなく、絶対的にどの選択肢がいいかの判断は難しいのが現状だと思います。ガイドラインの記載も国際的には統一しておらず、米国のガイドラインでは、インプラントへの入れ替え前の放射線治療も許容されてはいます。

医師により見解が異なるところではあると思いますが、再発のリスクと合併症のリスクをふまえ、すぐに放射線治療を開始すべきか、少し待った方が良いのか・待てるのか、放射線治療の先生も含めた医療チームとして統一した見解を求められてはいかがでしょう。


Re:筋膜切除後の断端陽性
ようこ(兵庫県) 2018/05/11
T先生

お世話になっております。
その後、先生方と相談を重ね、まずはタモキシフェンのみスタートしています。
放射線治療について、最終の判断は私自身で決めなければなりません。
説明された情報としては、
・深部断端に非浸潤が露出している箇所がある。
・乳腺裏の脂肪が非常に薄かった。(陽性箇所の周囲はほぼ脂肪が無いにように見える)
・主治医の先生は、DCIS全摘での断端陽性は初めてとのこと。
主治医の先生の個人的な感覚では、筋膜を切除しているので、無治療でも再発の可能性は低いと考えてはいるそうです。(ただし、初経験なので確信がないとのこと)
病院としては、放射線治療の開始を勧めるとの最終提案でしたが、私自身納得のいく判断をしてほしいと言われました。
このような状況では、どんな治療方針が良いのでしょうか。
スタンダードから少し外れた状況に置かれているので、正しい選択が何かよくわからなくなってきています。
Re:筋膜切除後の断端陽性
MT(兵庫県) 2018/05/18
ようこ様

横から失礼いたします。
はじめまして。腫瘍内科医のMTです。
エビデンスがなく、スタンダードがない場合の治療方針の決断は、本当に難しく、頭をかかえておられることと思います。
ようこ様がおかれた状況を考えますと、術後病理結果の事実と、これから起こり得る可能性について考えを巡らせて、治療方針の決定が必要なのだろうと思います。
すでに、いっぱい考えておられることと思いますが、いろいろと記載することをお許しください。

まず、術後病理結果ですが、病理学的に断端陽性となっている場合、T先生がお答えされているように、真に断端陽性で遺残腫瘍がある か 本当は取り切れていて遺残腫瘍はない、のいずれかになります。残念ながら、真実はだれにもわかりません。
病院が放射線療法を勧めておられることを考えますと、主治医の先生がたは、最終的に遺残腫瘍があるかもしれないと総合的に判断されたのだと思います(あくまでも想像ですが・・・)。

ただ、ここからが重要なのですが、ようこ様は現在、がんの治療をされています。
不確実な情報にふりまわされ、大変だと思いますが、今後起こりうることを想像して治療方針の決定に役立てていただきたく思います。

まず、非浸潤癌が局所再発した際には、約半数で浸潤癌を伴っていることが知られています。
また、ようこ様の病態とは異なりますが、ステージI-IIの乳癌に対して、乳房温存手術+全乳房照射を行った際の局所再発率は5.3%であり、断端陽性は断端陰性の2倍の局所再発リスクであったと報告されていることも併せてお考えください。

1.再発しなかった場合
1-1.放射線治療をしていなかった場合、どう思われますか・・・?
1-2.放射線治療をしていた場合、どう思われますか・・・?(整容性についてはわかりません)

2.再発した場合
2-1.放射線治療をしていなかった場合、どう思われますか・・・?
2-2.放射線治療をしていた場合、どう思われますか・・・?(整容性についてはわかりません)
(そんなに簡単に想像できない!という声がきこえますが、あくまでも仮定の話ですのでご容赦頂き、想像を巡らせてみてください。)

本当に難しい選択だと思いますが、ようこ様が選択された治療方針が最善だと思いますし、ようこ様にもその選択が最善であると信じて頂きたいな と思います。

なかなか科学的なコメントができず、申し訳ありませんでしたが、病理標本と手術記録をもって、セカンドオピニオンに行く事も選択の一つではないでしょうか。
Re:筋膜切除後の断端陽性
ようこ(兵庫県) 2018/05/18
お返事ありがとうございます。
実際のところ、セカンドオピニオンも受けたのですが、「露出箇所が側方だったなら、追加治療を必ず勧めます。今回は、深部なので、執刀された先生以上にわかることは無いです。自分が執刀した場合、筋膜を取りきっていれば無治療とします。放射線治療をうけるなら、インプラント後では期間が空きすぎるので、エキスパンダーでの拡張完了後を勧めます。」と言われました。
放射線治療により、エキスパンダーやシリコンインプラントの抜去が必要となるような深刻な副作用が現れる可能性が高いともあり、大変怖いです。
もちろん、命には代えられない事はわかっているのですが。。。
最後に質問したいのですが、人工物を入れた状態でのトラブル発生の可能性は、ガイドラインに書いてある割合程度で、やはり発生するのでしょうか。それとも、機器の進歩で発生確率が低くなっているのでしょうか。
そして、真の断端陽性だった場合、放射線は局所再発の確率を低減してくれることは確かなのでしょうか。担当の先生は、リスクを1/3にしてくれると仰っていますが、信じてよいのでしょうか。
Re:筋膜切除後の断端陽性
y(千葉県) 2018/07/03
ようこさま

お返事が遅くなりまして大変申し訳ございません。
その後いかがお過ごしでしょうか。
病気を抱え、治療をしていくには、はっきりとしたデータのない中での多くの選択の繰り返しで、お悩みが尽きないこととお察しします。
私たちとしては、これまでのコメントと同様なお答えとなってしまいますが、ようこさんがこれまでなさってきたように、主治医との話し合いの繰り返し、積み重ねをしながら、ようこさんご自身が何を優先したいのかを見出していく過程が大事なことと思います。
そのためには、ようこさんの病気や治療の状況がわかる看護師、相談室があれば相談員、ようこさんのこれまでの生活や考え方をよく知っている人が助けになるかと思います。お気持ちを話すことで整理ができたり、主治医とのやりとりの助けをしてくれるかもしれません。
そうして話し合った選択に沿って医療者は全力でようこさんの最善のために取り組みます。
直接的なアドバイスができず恐縮ですが、私たちはようこさんのちからを信じています。

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