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抗がん剤のペットへの影響
あおい(大阪府) 2018/05/21
お世話になります。
先日、乳がんで右胸を全摘し、術後治療として抗がん剤を選択せざるをえなくなった者です。抗がん剤治療が始まる直前、気になることがあったので、質問させてください。
我が家ではペットを飼っています。室内で小型犬を育てています。私が抗がん剤を投与されることで、ペットへの影響がないかを心配しています。
汚物はもちろん近くには置かないつもりですが、他に何か対策はあるでしょうか。食べ物の口移しなども良くないのでしょうか。
インターネットで調べてみても、家族への影響についてはいくつか書かれてありましたが、ペットについてはあまりないようです。ペットとはいえ、私の大切な家族同然ですので、教えていただけるとありがたいです。

Re:抗がん剤のペットへの影響
S(京都府) 2018/05/22
あおいさん

こんにちは
がん患者さんの治療によくかかわっている看護師です。
ご質問についてですが、わんちゃんや猫ちゃんを家族として生活している患者さんから質問されることがあります。
問題点は2つあって、
一つはあおいさんが外来通院で抗がん剤治療を受けることで
あおいさんと一緒に生活をしているご家族(ワンちゃんも含めて)への暴露の問題です。


2点目は、あおいさんが抗がん剤治療を行うことであおいさん自身の免疫力が低下して、
ばい菌などから体を守る力が落ちてしまうために起こる感染症の問題です。

まず一つ目の暴露の問題については、
・「 がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン」https://jscn.or.jp/kanko/book/gl_book01.pdf
p15「健康への有害な影響」をご覧ください。
こちらには抗がん剤投与に係る医療者への暴露について記載されており、使用する薬剤によっては、医療従事者が暴露するということもあります。
私たちが外来での抗がん剤投与をされる患者さんに説明する際は、
抗がん剤治療を行って2日間はトイレに行った際は2回水を流すことを勧めたりしています。
万が一嘔吐することなどがあった際も2度拭きするなど、よくふき取るようにしてもらう必要があると伝えています。
また洗濯物についてはよほど激しく発汗したものでなければ、一緒に洗っても大丈夫だと伝えています。
わんちゃんへの暴露ということは、おそらく少ないのではないかと思いますが、抗がん剤が唾液などにも分泌されていることもあるので、
口移しで食べ物を挙げるといったことも少なくとも抗がん剤投与後2日間はやめたほうがいいと思います。

抗がん剤治療を行うに当たっては全般的な生活上の注意点など以下のサイトをご参照いただければと思います。
・ がん情報センター 化学療法全般について
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/attention/chemotherapy/about_chemotherapy.html

2つ目の免疫力の低下に関してです。
あおいさんがご心配されていることはペットへの暴露かと思いますが、
私たち医療者は、患者さんが抗がん剤治療を無事に完遂できることを目指しております。
もしもあおいさんの免疫力が低下して、感染などが起こり、治療が予定通りに行われなくなることを懸念します。
一般的に抗がん剤を投与して7日~14日ごろに白血球の数が減り、感染症にかかりやすい時期になります。
そのような時期は特に感染症に注意する必要があります。
またわんちゃんやねこちゃんは「パスツレラ」という病原菌を持っていることがあり、わんちゃんと食べ物を口移しやわんちゃんとべろべろとキスをすることで感染する可能性があるので避けたほうがよいと思います。また同じ理由でうんちやおしっこの世話もあおいさんがしないほうがよいかと思います。
(詳細は上記がん情報センターにも記載があります)

あおいさんの生活の中での個別に疑問に思う点がありましたら、
外来化学療法室の薬剤師や看護師にご相談いただけるときっと生活上の工夫やどれくらいの時間であおいさんに投与された抗がん剤が体の中から抜け切れるのかなど
教えてくれると思います。
一度ぜひ尋ねてみてはいかがでしょうか?

あおいさんの治療が順調に進むことをお祈りしております。

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