掲示板「チームオンコロジー」

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エッセイを読んで
術後補助療法について
ナツ(神奈川県) 2019/04/19
66歳女性。
乳がんにて右乳房全摘。
以下、術後の病理検査結果になります。

ACE area 2.2x1.8x1.4cm pT2
solid type f Ly0 V0
Nuclear grade3(3+2)
Histological grade2(2+3+1)
pN0(Level I:0/5)
pT2N0 cM0 pStageⅡA

術前の針生検の結果

Nuclear grade1
Histological grade1
HER2(1+)、ER(90-100%)、PgR(90-100%)、ki67(20-30%)

術後の ki値は測定されていないのか、病理検査の報告書に記載されていませんでした。

術前、術後で ki値は変わらないのでしょうか?

それとgradeが上がっているにも関わらず、今後の治療方針はホルモン療法単独で、ということでアリミデックスが処方されています。

抗がん剤が必要な時は再発した場合だと断言されましたが、その通りなのでしょうか?

ルミナールAのタイプでもホルモン療法が無効である群が20%、Bタイプだった場合、抗がん剤治療による上乗せがなければ再発しやすい、との記述を別サイトで読み、不安を感じています。

オンコタイプのことも考えましたが、高額であることと、時間がかかること、医師の判断を疑うようで申し訳なく、取りやめました。

Re:術後補助療法について
S(神奈川県) 2019/04/22
ナツ様

掲示板へのご投稿有難うございます。医師のSと申します。まずは検査、手術など大変にお疲れ様でございました。チームで検討した内容として回答申し上げます。ナツさんにおかれましてはご自身の状況のご理解のために非常に勉強されていて素晴らしいと思っております。回答を以下に書かせていただきましたが、掲示板の性質上、一般的な内容にとどまりますこと、ご容赦ください。

まず、ご記載いただきました術後病理の結果を拝見いたしますと、Ki67のみならず、ER, PgR, HER2 に関する記述もないようです。これらの結果は生検標本と手術で採取された組織 (手術標本) で結果が異なることがあり、手術標本における ER, PgR, HER2, Ki67 の状況はどうであったか主治医にお尋ねになることをされてみるのがよろしいかと思います。一般的には手術標本における結果も踏まえて術後の治療方針を考えていくことになろうかと思います。

オンコタイプDxについてお尋ねをしてくださっていますね。概要を申し上げます。オンコタイプDxにおいては、再発スコアと呼ばれる値が患者さんと主治医のもとに届けられることになります。この再発スコアが一定以上ですと、術後に補助療法として抗がん剤を用いた化学療法を実施することでメリットを受けられる可能性が提示されるというものです。料金以外の注意点としては、「ご自身が再発スコアで一定値以上であるという結果を受け取った際に、抗がん剤を用いた化学療法を受けることに十分納得できる "未来の自分" を想像することができるか」という点です。つまり、再発スコアが一定以上であるにも関わらず、何からの理由で化学療法を受けないことになった場合、不安な気持ちが安心を超えてしまうことがあり得ます。結果を受け取った際の未来の自分との対話は容易ではないかもしれませんが、この点、十分に注意なされてください。また、ホルモン療法が始まっているとのこと、この点について、現時点から (再発スコアを得たのちに一定値以上だった場合) 化学療法に切り替えることが可能なのか、オンコタイプDxを申し込む前に主治医にお尋ねになるのがよろしいかと思います。なお、オンコタイプDxでは手術標本の一部分を検査として提出することを申し添えます。前提として HER2陰性を必要としますが、これについても主治医にお尋ねくださるのがよろしいかと思います (HER2検査は 「1+を陰性と捉える」などやや複雑ですので、手術標本におけるご自身の状況をご確認されるとよろしいかと思います)。

さて、「医師の判断を疑うようで」とのことですが、主治医とのコミュニケーションはナツ様ご自身が納得して治療を継続される上で非常に重要です。疑問に思われることは遠慮せずに、お尋ねになるのがよろしいかと思います。現在、ホルモン療法のみが選択されている根拠、抗がん剤を使用する場面が現在のようになっているという根拠を是非お尋ねになられてください。また、ナツさんがオンコタイプDxを希望なされたりすること (あるいは例えばセカンドオピニオンを希望する事は)、決してナツさんと主治医との関係に影響を与えるものではないと思います。「患者と医療者のコミュニケーション」とカテゴリーにも記載がありますが、主治医に直接伝えるのが難しい場合、看護師や外来受付スタッフに「主治医に○○の件を相談したいと思っている」などどお伝えいただくのもよろしいかと思います。ナツ様が納得できる治療を受けられますことをチーム一同お祈り申し上げております。

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