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患者と医療者のコミュニケーション
断端陽性の再手術の要否について
N(和歌山県) 2020/05/03
3月中旬に右乳房温存術(1.5cm範囲の石灰化)を受け、術中迅速では断端陰性でしたが詳しい病理の結果、内側上部奥側で断端陽性で1mm未満の露出があるとのことでした。
追加切除を勧められましたが、再手術に気持ちが付いていけず他の方法を尋ねたところ、標準治療ではないが局所再発率が7%から20%へあがるリスクを承知であれば、放射線の追加照射でも構わないとのことでした。
さらにホルモン剤を服用すれば5%程度リスクを下げることもできるが、副作用を考えると大きな効果ではないと。
マンモトームの結果では右乳管がんの微小浸潤疑いでしたが、術前のカンファレンスでおそらく非浸潤であろうとセンチネル生検はしませんでした。
術後の病理結果でも確定には至らなかったが、非浸潤がんということになっています。そんなこともあるのでしょうか・・・
一般的に、こんな場合は浸潤がんの可能性を考えやはり手術すべきなのか、もし再手術をしない選択をとるならホルモン剤を服用すべきなのか・・・悩んでおります。
よろしくお願い致します。

診断:Ductal carcinoma in situ of the rt.breast
所見:DCIS
組織型:papillary/cribriform
核異形度:na2 mc2
コメド壊死:+
margin:positive
ER/PgR: PS4 IS3 total score7
HER2 testing:スコア2+
Ki-67 index: 68/739,9.2%

Re:断端陽性の再手術の要否について
上野 直人(海外在住) 2020/05/04
断端陽性は、基本的に再手術するのが王道です。
手術をしない、場合は、放射線治療あるいはホルモン療法を考える必要がありますが、主治医と非浸潤がん再発のリスクをよく相談必要があります。
「術後の病理結果でも確定には至らなかったが、非浸潤がんということになっています。そんなこともあるのでしょうか・・・」ありえます。生検と手術により病理標本の質が違うために、病理医が判断をかえることがあります。
Re:断端陽性の再手術の要否について
N(和歌山県) 2020/05/05
ご回答いただき、ありがとうございます。
再手術がベストであることを理解した上で、未だ避けたい気持ちも強く…もう少し考えたいと思います。
手術をしない場合は、放射線の追加照射はマストとのことなのでそのつもりですが、その場合、加えてホルモン剤の服用も望ましいと思われますか?
一般的な選択ではないとは思いますが、お答え頂ければ幸いです。
Re:断端陽性の再手術の要否について
上野 直人(海外在住) 2020/05/06
ホルモン療法は、一般的に仮に断端が陰性であっても、反対側の乳房が残っている場合、あるいは、部分乳房切除術により乳腺組織がある場合は、おすすめします。ただし、すべては、バランスであり、副作用とどれぐらいの非浸潤がん再発率と浸潤がん予防率を主治医に聞くことにより最終判断が大切だと思います。つまり、断片が陽性にあるだけに、ホルモン療法はさらに考慮の必要があるというのが一般的な考え方と思われます。
Re:断端陽性の再手術の要否について
N(和歌山県) 2020/05/07
上野先生、ありがとうございます。
バランスの大切さ、が心に響きました。同時にその難しさも感じています。
主治医に、まだ決心がつかないことを伝え話をする中で、断端陽性部の大きさが1ミリ未満→2ミリ未満→概算2ミリとなりました。(石灰化の範囲は3センチ)
以前、二度確認した時は1ミリ未満ということだったので、いろんな意味でショックを受けています。
ある所見で「2ミリ未満であれば追加切除なしの適応の余地がある」となっていたので、そのつもりで模索していたので…少なからず軸がブレてしまいました。
このような誤差は見方で生じるのでしょうか。私にまだ手術なしの選択肢は残されているのでしょうか。
先生のご意見、お聞かせいただきたいです。
Re:断端陽性の再手術の要否について
上野 直人(海外在住) 2020/05/09
断端が陰性で2ミリ以下と断端が陽性では、違いがあります。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5604195/
この英語の論文以下に紹介されているように、断端が陰性で2ミリ以下では、放射線治療を通して再発を考慮します。病理医と主治医の判断が大切なポイントです。残念ながら絶対的な答えはなく、病理医の判断をたより主治医は判断します。病理医も慎重に判断していると思います。医療では、絶対的な答えが無いの多々です。

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