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患者と医療者のコミュニケーション
マンモトーム生検時のマーキング留置について
あや子(東京都) 2020/06/21
はじめまして。現在、乳がんの疑いと言われており、不安な思いの中、こちらの掲示板にて情報収集させて頂いております。先生方が親身にご回答してくださっているのを見て大変ありがたい掲示板だと思っております。

さて本題ですが、
マンモトーム生検のマーキング留置についてご教示頂きたく投稿させて頂きます。

現在、乳腺エコーで小さなしこりが見つかり、乳がんの疑いと言われており、エコー下マンモトーム生検を受ける予定となっています。
医師からは、「しこり(病変)が小さいので、マンモトーム生検ですべて取り切れてしまう為、病変の目印としてマーキングを留置する」との説明がありました。
マーキングはハイドロマークと言うチタン製のコイル状のもののようです。
また、ハイドロマークを扱う病院はあまり多くないとのことでした。

ここで質問なのですが、
病変がとり切れてしまう場合でも、ハイドロマークのような目印無しでもやれている病院があるということでしょうか?
その場合、どのような方法をとっているのでしょうか?
体内に異物を入れることを少し不安に思っていますので、マーキング留置無しでもできるかご教示お願い致します。

ちなみにインターネットで調べましたところ、下記のような病院があるようです。
 ・金属製のクリップを留置して目印にする。
 ・病変をとり切らないで少し残す(マーキング留置無し)。
 ・マンモトーム生検時の瘢痕でわかる為、マーキング留置無し。

お忙しいところ恐れ入りますが、ご教示頂けますと幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。

Re:マンモトーム生検時のマーキング留置について
K(静岡県) 2020/06/21
こんにちは。日頃乳腺の生検を行っている医師です。

あや子さんが担当医から説明を受けたように、生検で大部分がとりきれてわからなくなってしまうような小さな病変や、似たような病変が複数あってどこを生検したか後からわかりにくそうな病変、もともと超音波では見えない病変をマンモグラフィ下に生検した場合、などにマーカー留置が行われます。
ハイドロマークやその他にも数種類、乳腺専用の金属マーカーがあり、留置の方法や、検査での見え方、材料費などが少しずつ違うので、施行者が使いやすいものが採用されています。どれも外から見ても触っても全くわからない小さなもので、マンモグラフィや超音波検査で確認します。身体には無害で、留置後にMRI検査も受けても問題ありません。

あや子さんが良く調べておられる通りで、マーカーを使用しない施設もありますが、事前に皮膚に印をつけておいたり、生検後の痕がしばらくは超音波検査でわかりますから部位を確認することはできます。また、マーカー留置を行ったとしても、まれにうまく留置できていないこともありますから、その場合は早めに超音波検査で生検後の痕を確認して手術まで皮膚に印をつけておいたりします。

生検後に手術が必要な場合は、マーカーを留置しておけば目的病変がちゃんと切除できたことも確認できますし、手術が不要な場合にはその後のマンモグラフィや超音波検査などの定期検査時に残されたマーカーの周りに病変が出てきていないかを特に注意して確認することもできるなどのメリットもありますので、私は必要と判断した場合にはマーカー留置を勧めていますが、マーカーを入れることに抵抗がある方はいますので、もちろん個人の選択によりますし、マーカーを入れない場合にも問題がないように対応します。
あや子さんが納得して検査を受けることが最も大事ですので、不安であれば担当医にもう少し詳しく説明を聞いて、マーカーを入れない場合はどのように対応するかを確認したうえで決めると良いと思いますよ。
Re:マンモトーム生検時のマーキング留置について
あや子(東京都) 2020/06/21
K様、こんにちは。

お忙しいところ、早速ご連絡頂きましてありがとうございます!
迅速にご返信頂きまして、また大変わかりやすくご説明頂きまして、大変ありがたく思います。本当にありがとうございます。

ご返信頂きました中で、さらに質問①②③を下記の通り書かせて頂きます。

K様
「あや子さんが良く調べておられる通りで、マーカーを使用しない施設もありますが、事前に皮膚に印をつけておいたり、生検後の痕がしばらくは超音波検査でわかりますから部位を確認することはできます。」の
「生検後の痕がしばらくは超音波検査で分かりますから部位を確認することはできます。」について

質問①
これは、生検後の瘢痕はしばらくは確認可能だが、生検後の瘢痕が治ると(傷が治ると)、確認ができなくなるということでしょうか?
(そうであれば、マーカー留置した方がずっと長い間、部位を確認しやすいと考えられますね。)

K様
「生検後に手術が必要な場合は、マーカーを留置しておけば目的病変がちゃんと切除できたことも確認できますし、手術が不要な場合にはその後のマンモグラフィや超音波検査などの定期検査時に残されたマーカーの周りに病変が出てきていないかを特に注意して確認することもできるなどのメリットもありますので、」

質問②
手術が不要な場合は、体内に残されたマーカーがその後の検査の助けになると理解致しました。手術が不要な場合というのは、良性であるとか、治療が不要の病変ということが考えられると思いますが、その時に手術が不要となっても、その後、マーカーの周りに病変が出てくることがあるということでしょうか?

担当の病院に、マーカー留置が不要でも良いか確認したところ、
「病変をとり切らないで少し残すことで、病変の位置はわかるようにし、マーカー留置無しとすることはできる」とのことです。

質問③
このような方法は一般的でしょうか?
診断に十分な組織量を採取することができるのでしょうか?
採取する組織量(検体量)は多いほうが診断能力が高いときいたことがありますので、
検体量の多い・少ないによって診断結果(良性か悪性か、悪性(乳がん)の場合はサブタイプが何か)が変わってきてしまうことはあるでしょうか?

お忙しいところお手数をおかけし大変恐縮ですが、ご教示頂けますと幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。
Re:マンモトーム生検時のマーキング留置について
あや子(東京都) 2020/06/21
K様

続けての投稿で大変恐縮ですが、質問④⑤を書かせて頂きます。

質問④
マーカー留置をした場合で、診断結果が良性である場合、
留置したマーカーを摘出することは可能でしょうか?
(すぐにではなく、マーカー留置したメリットを生かして定期検査等でマーカーの周りに病変が出ていないか、一定期間(例えば何年か)経過観察をして、それで問題が見られなければというタイミングかと思います。)

質問⑤
K様コメント
「私は必要と判断した場合にはマーカー留置を勧めていますが、マーカーを入れることに抵抗がある方はいますので、もちろん個人の選択によりますし、マーカーを入れない場合にも問題がないように対応します。」

「マーカーを入れない場合にも問題がないように対応します。」について、
例えば、どのように対応されているでしょうか?
Re:マンモトーム生検時のマーキング留置について
K(静岡県) 2020/06/21
長文のお返事で失礼します。
ご質問①の生検後の瘢痕については、超音波検査でいうと、もともとの乳腺の見え方に個人差が大きいことや、病変の部位、生検の状況によって生検痕の確認しやすさは異なるので、一概に何日後までわかるとは言えません。マーカー留置についてあまり心配する必要はないと思いますが、マーカーを置かないことを選択しても、担当医が一番良い方法を選んでくれると思います。
ちなみにハイドロマークはマンモグラフィではずっと見えますが、超音波で見やすいように金属コイルの周りを囲んでいるハイドロゲルが経験上は1年半くらいでしぼむので、それ以後は超音波では見えにくくなります。
質問②の、手術が不要な場合というのは、原則として良性病変ということです。
マーカーを置く置かないに関わらず一般的な話ですが、生検はあくまでも病変のごく一部を小さな検体で診断しますので、全体を必ずしも表しません。お聞きになっているように、採取する組織量が多ければ診断の正確性は上がりますが、それだけ乳腺の中を傷つけていることになりますので、ほぼ確実に診断でき、しかしできるだけ侵襲の少ないやり方を選んで生検を行います。質問③,⑤についてあや子さんの担当医の言うように、私もマーカーを残さない場合は、できるだけ病変が見える程度に残しつつ、かつ診断に十分な量を採取すると思います。生検後に病変がわかりにくくなり、かつマーカーも留置できなかった場合はその場で直上の皮膚に印をつけ、乳頭からの病変方向・距離の測定(もともと事前の検査で記録されてはいますが)や、周りの構造との関係がわかりやすいような画像を記録として残します。めったにないですが。
必然的に、生検で良性と診断された場合も、適切な部位が取れていなかったり、検体が小さく病理診断が難しいなどの理由により、再検査をしたら悪性だった、経過を見ていたら悪性であることがわかったということは、頻度は少ないですが起こりえます。そのため生検結果が良性であっても、画像検査で悪性を否定できない場合には、その疑いの程度によって慎重に経過観察する、または再検査をするなどの対応がとられます。
先ほど書いたように、主目的ではないですがマーカーを置いておけば経過観察する際にそこに注目して変化に気づくことができますし、逆に、経過観察中に異常に見える部位があっても、そこはマーカーがあって以前生検で良性と診断されているから次回の検査まで待ってみましょう、と不要な生検を避けて様子を見る場合もあります。しかし、質問④の病変が良性であった場合に後からマーカーを摘出することはできません(技術的には可能ですが、医学的には不要な処置ということになってしまいますので)。

いずれにしても、あや子さんの検査の必要性や適切な診断方法について一番理解しているのは担当医ですし、お話を聞く限りは問い合わせにも丁寧に対応してくださるようですので、担当医や看護師に疑問が残らないように遠慮なく質問して検査を進めていくのが良いかと思います。
まずは生検結果が良性であることを願っています。もし治療が必要な病変であったとしても、あや子さんの力になりたいと思っている掲示板担当者が揃っていますので、治療法の詳細に言及することは掲示板の目的ではないですが、不安を和らげることはできるかもしれませんので、必要な場合にはいつでもご相談ください。
Re:マンモトーム生検時のマーキング留置について
あや子(東京都) 2020/06/21
K先生

とても丁寧なご連絡をありがとうございます。大変助かります。
また、とても励まされ、気持ちが少し楽になります。

マーカー留置無しでも、先生方の工夫次第で問題無くやっていけるのかと理解致しました。
また、採取する組織量が多ければ診断の正確性は上がりますが、だからと言ってたくさん採取しまくれば良いというわけではなく、乳腺を傷つけることになるので、診断できるのに十分な量を採取することを先生方は考えているのだと理解致しました。

担当の先生は、厳しそうな雰囲気をお持ちの方で、いざ目の前にするとなかなか聞きたいことが聞けなくなってしまいます。
K先生のアドバイスにあります通り、疑問が残らないように遠慮なく質問ができるようになりたいと思います。

K先生の丁寧で誠実なご連絡を見て、やはり、多くの先生方は、患者さんからの質問には、できるだけ丁寧に答えたいと思っているのではないか?と思えるようになりました。そう考えれば、少し気持ちも楽になりますし、そう思いながら、担当の先生とお話をすれば、質問を遠慮なくできる気がします。

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