掲示板「チームオンコロジー」
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患者と医療者のコミュニケーション
認知症のスキルス胃がんステージ2 術後のTS-1について
きい(大阪府)
2023/08/31
認知症の父(76歳)がスキルス胃がんになり今月初めに手術をしました。入院中、認知機能の低下は家族で気になってはいたのですが、やはり病院で暴れてしまったようで本来の退院までは入院できず強制退院し今は家で過ごしている状況です。
幸いステージ2で腹膜播種はなく悪い所は取り切れているのですが、現在は排泄問題などの介護で母の負担が大きくなっている状況です。
先日通院にて、化学療法でTS-1の服用を勧められました。
少ない服用でも副作用があるかと思いますので現在抗がん剤の使用に私も母もあまり積極的になれず、悩んでいます。
スキルス胃がんの為化学療法で叩く方がいいことは重々理解しております。
使用するとなると
認知症で本人はあまり理解ができない為、分からないまま薬の服用とわけも分からず副作用と戦うことと思います。
TS-1を使用をしても再発の可能性はあり、
76歳の年齢を考えると1年抗がん剤をしんどい思いをしながらそれでも少しでも生きれるように頑張る方がいいのか、そのままもう好きな物を美味しく食べれる状況の方が生活の質がいいのか
どうしたらいいのか毎日悩んでいます。
TS-1を使ったことによりどれくらい再発が抑えれるのでしょうか。
また同じ立場だった場合抗がん剤の使用を選ばれますでしょうか
少し第三者の意見を聞きたく思いこちらにて書かせて頂きました
よろしくお願いいたします
幸いステージ2で腹膜播種はなく悪い所は取り切れているのですが、現在は排泄問題などの介護で母の負担が大きくなっている状況です。
先日通院にて、化学療法でTS-1の服用を勧められました。
少ない服用でも副作用があるかと思いますので現在抗がん剤の使用に私も母もあまり積極的になれず、悩んでいます。
スキルス胃がんの為化学療法で叩く方がいいことは重々理解しております。
使用するとなると
認知症で本人はあまり理解ができない為、分からないまま薬の服用とわけも分からず副作用と戦うことと思います。
TS-1を使用をしても再発の可能性はあり、
76歳の年齢を考えると1年抗がん剤をしんどい思いをしながらそれでも少しでも生きれるように頑張る方がいいのか、そのままもう好きな物を美味しく食べれる状況の方が生活の質がいいのか
どうしたらいいのか毎日悩んでいます。
TS-1を使ったことによりどれくらい再発が抑えれるのでしょうか。
また同じ立場だった場合抗がん剤の使用を選ばれますでしょうか
少し第三者の意見を聞きたく思いこちらにて書かせて頂きました
よろしくお願いいたします
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Re:認知症のスキルス胃がんステージ2 術後のTS-1について
J-TOP掲示板担当(北海道)
2023/09/16
きいさん、この度は掲示板への投稿、御相談をいただき、ありがとうございました。お返事まで日数を要し申し訳ございません。
お父様の病状、現状での胃癌術後補助化学療法について、大変悩ましい状況かと思います。
治療の観点で考えますと、ステージII胃癌の術後補助化学療法としてTS-1の1年間の使用は、ガイドライン上も標準治療だと考えて差支えないと思います。ご質問の治療効果につきましては、主に5年生存率を評価する臨床試験では、5年生存率が手術単独で61.1%、TS-1の術後補助化学療法で71.7%とのデータになっています。どのくらい再発が抑えられるかに近いデータとしては、5年無再発生存率が手術単独で53.1%、TS-1の術後補助化学療法で65.1%との結果になっています。
そのうえで、治療方針検討における要素としては、
(1) 本人または介護者で服薬管理ができるか
(2) 本人が副作用を自覚して表出できるか
(3) 治療目標をどのように考えるか
が重要になると考えています。
(1) 服薬管理については、決められた量を定期的に内服できるかが大切になります。お母様が排泄など身の回りの日常生活動作を介助している状況ということなので、お父様が服薬を拒否する状況でなければ、この点はクリアできるかと思います。
(2) 副作用を自覚して表出できるかについては、ご本人のつらい時期を長引かせないためにご家族、医療者が副作用の兆候に気が付けるか、また安全に治療をうけるために重大な副作用を早期に発見できるか、に関わります。TS-1単剤であれば、悪心や嘔吐はあまり強くないと考えますが、食欲不振、下痢や色素沈着、血球減少(貧血など)、流涙などが副作用として挙げられます。
以上のような、治療を安定的に、安全に受けられるのかの検討に加え、
(3) 治療目標をどのように考えるか、も重要になると考えます。
お父様が治療を受けたいか受けたくないかについて、状況を包括的に理解しての直接的な意思表出が困難だとしても、一つ一つことに対してのお気持ちを表現できる場合もあると思います(例えば、長生きしたいと思う、体調が悪くなるのは避けたい、など)。そのようなお気持ちから、ご本人にとって良いと考えられる方針が定まることがございます。
もし、まったく意思表示が困難な場合は、ご家族と医療者で、ご本人なら何に重きをおいて治療方針を選択されるか、想像をしながら検討することになるかと思います。ポイントは、ご本人ならどう考えるかをお父様との今までの関り、言動から想像することかと思います。治療を頑張る意義や、誰のための治療か、相談することは大事なことと思います。
治療は一度トライしてみて、副作用が辛い・生活の質が低下するようであれば、主治医と相談しいつでも途中でやめられます。中止の決断に悩まれるようであれば、またいつでも掲示板にアクセスして頂き、医療者のみなならず、体験者からのご意見も得られることと思います。
きいさんが、お父様、ご家族様のことの考え、話し合い、選んだ選択に正解や間違いというものはありません。
この返答が参考になれば幸いです。
お父様の病状、現状での胃癌術後補助化学療法について、大変悩ましい状況かと思います。
治療の観点で考えますと、ステージII胃癌の術後補助化学療法としてTS-1の1年間の使用は、ガイドライン上も標準治療だと考えて差支えないと思います。ご質問の治療効果につきましては、主に5年生存率を評価する臨床試験では、5年生存率が手術単独で61.1%、TS-1の術後補助化学療法で71.7%とのデータになっています。どのくらい再発が抑えられるかに近いデータとしては、5年無再発生存率が手術単独で53.1%、TS-1の術後補助化学療法で65.1%との結果になっています。
そのうえで、治療方針検討における要素としては、
(1) 本人または介護者で服薬管理ができるか
(2) 本人が副作用を自覚して表出できるか
(3) 治療目標をどのように考えるか
が重要になると考えています。
(1) 服薬管理については、決められた量を定期的に内服できるかが大切になります。お母様が排泄など身の回りの日常生活動作を介助している状況ということなので、お父様が服薬を拒否する状況でなければ、この点はクリアできるかと思います。
(2) 副作用を自覚して表出できるかについては、ご本人のつらい時期を長引かせないためにご家族、医療者が副作用の兆候に気が付けるか、また安全に治療をうけるために重大な副作用を早期に発見できるか、に関わります。TS-1単剤であれば、悪心や嘔吐はあまり強くないと考えますが、食欲不振、下痢や色素沈着、血球減少(貧血など)、流涙などが副作用として挙げられます。
以上のような、治療を安定的に、安全に受けられるのかの検討に加え、
(3) 治療目標をどのように考えるか、も重要になると考えます。
お父様が治療を受けたいか受けたくないかについて、状況を包括的に理解しての直接的な意思表出が困難だとしても、一つ一つことに対してのお気持ちを表現できる場合もあると思います(例えば、長生きしたいと思う、体調が悪くなるのは避けたい、など)。そのようなお気持ちから、ご本人にとって良いと考えられる方針が定まることがございます。
もし、まったく意思表示が困難な場合は、ご家族と医療者で、ご本人なら何に重きをおいて治療方針を選択されるか、想像をしながら検討することになるかと思います。ポイントは、ご本人ならどう考えるかをお父様との今までの関り、言動から想像することかと思います。治療を頑張る意義や、誰のための治療か、相談することは大事なことと思います。
治療は一度トライしてみて、副作用が辛い・生活の質が低下するようであれば、主治医と相談しいつでも途中でやめられます。中止の決断に悩まれるようであれば、またいつでも掲示板にアクセスして頂き、医療者のみなならず、体験者からのご意見も得られることと思います。
きいさんが、お父様、ご家族様のことの考え、話し合い、選んだ選択に正解や間違いというものはありません。
この返答が参考になれば幸いです。
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