aiziさん　質問ありがとうございました。
ステロイドホルモン代謝という分野の質問になりますね。このあたりのしくみを完全に把握するのは、実は医師でも難しいです。自分が知る限りでは
http://www.v-next.jp/contents_08.htm
にあるvol-nextさんのwebの説明が一番わかりやすいと思いますので是非ごらんになってください。自分が患者さんに説明するときには、以下のように説明しています。

視床下部は本社、下垂体が支社、卵巣が工場とおもってください。閉経前は本社から指示が支社へ、支社から注文書が工場におくられて、工場で製品（エストロゲン）がつくられます。本社では製品は作っていません。LH-RHアゴニストは本社からの指示です。本社からあまりにたくさん、連続して”製品をつくれ！”と支社に指示がくるので、支社がいやになってストライキをおこします。そうすると注文書が工場に届かないので、工場は製品をつくりません。これがＬＨ－ＲＨアゴニストの作用です。製品はエストラジオールも、エストロンもつくれます。この２つの製品は部品をちょっとつけたり、はずしたりするだけでどちらにもなれますので、つくらないとすれば、どちらもほぼつくられません。もうひとつ大事な点はエストロンは乳癌細胞にとってはあまり役にたたない（活性が低いといいますが）製品なので、これを測定する意味は実際にはないと思います。
　お年をとられた場合やＬＨＲＨアゴニストをつかって卵巣工場が製品をつくらなくなった場合、血液のなかには製品がほとんど供給されなくなります。しかし、かわりに別の会社（副腎）からアンドロゲンという”あとひとつ部品をつければ製品（エストロゲン）になる”という商品が血液中に供給されています。これらはお客さん（乳癌細胞）のうちで、もしくはそのすぐ周囲の町工場で、部品をつけられエストロゲン(エストラジオール、エストロンなど）になります。これが、主治医先生のいうことだったのではとおもいます。
お書きになったとおり、閉経前でもLH-RHアゴニスト＋アロマターゼ阻害剤は効果があるはずですが、いまのところ通常おこなわれるLHRHアゴニスト＋タモキシフェンよりもよいということは確立していません。またちょっと複雑なのですが、LHRHアゴニストでの閉経状況と、本当の加齢による閉経後の状況は、全体の各種ホルモン構成が全く同じではないです。このあたりはまだまだよくわかっていません。

ステロイドホルモン代謝という分野は、覚えたくないような酵素や名前がいっぱいでてくるので大変です。

今後のaiziさんの勉強の土台になればと思います。

薬剤師の上田と申します。
この話題について、ASCOという学会の今年の報告で学んだばかりなのですが、閉経前の患者を人工的に閉経させて、その後TAM vs ANAで悪くなるまでの期間(DFS)を比較した結果、両者に差がなかったというものでした。(ABCSG-12)

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/asco2008/200806/506676.html

乳がんを専門にしていないので、詳しいことはわからないのですが、なにかの参考になれば幸いです。

shige先生、上田先生、ASCOなど国際学会が開催され、臨床以外にもお忙しいところ、丁寧なご説明やURLご案内くださいましてありがとうございました。
E1計測不要の意味がよくわかりました。
紹介くださったサイトさっそく参照して、理解深めたいと思います。
女性ホルモンは、人生で総量たったティースプーンひとさじというのに、すごい影響があるのですね。
目に見えないし、わが身体にひそむナゾです。