掲示板「チームオンコロジー」

Bulletin board

患者と医療者のコミュニケーション
患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
shige (乳腺医)(東京都) 2008/10/13
治療中の乳癌患者さん、もしくは診断のために通院しているかたへ素朴な疑問です。いまピンクリボンキャンペーンのためもありyahooなどのトップページからピンクリボン特集サイトにとぶことができます。また”乳がん”といれれば、いろんなところにとんでいくことができます。自分自身も患者さんむけのサイトに原稿を書いたり、ラジオに出たりすることもあります。しかし、結構苦労してこれらを出すのですが、いったいこれは本当に役にたっているのか?と疑問に思っています。たぶん反応(フイードバック)がわからないことと、webサイトのなんとなくあやふやさによっているのかと思います。一方、たとえばデジタルカメラを買おうと思えば、公式サイトではなく、amazonや価格.comで口コミをしらべて評判をみて、品物を決めることを自分がしたりしています。これらのあやふやさ、無責任さがあるのにも関わらず、それを優先することが多いのが自分でも不思議です。価格が高いものほど、なぜか口コミを熱心にさがす傾向があります。医療にもこのような選びかたが存在するのはないか?と思ってもいます。
いったいどういう形態の情報源がもっとも実際の患者さんに役立つのでしょうか・・

   
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
KEN(愛媛県) 2008/10/14
私も同感です。よくみる患者さん向けの安易な「有名医師のいる病院」「ランキングの高い病院」とかいう記事がどれほど信憑性があるかわかりませんが、患者さんが病院選びするのに結構みておられます。われわれはいろいろ受ける依頼で、一生懸命対応しても、そのような記事があるとまったく歯が立たないですね。情報そのものにランキングでもつければ少しは役に立つものになるでしょうが。マスコミは難しいです。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
瀬戸山修(宮城県) 2008/10/14
 Shige先生,KEN先生のご意見はごく当然と思う反面,それが現実と受け止めることも必要と思います。
 専門的な情報の信憑性や情報の価値を評価できない一般の方は,価値基準として,高名な方を信用するしか方法がないのかも知れません。マスコミも商売ですので,一般受けすることを記事にすることが多いとおもいます。

 家電や車選びは,一般の方もかなり評価できるようになってきていますので,ブランドを含めて価格.comなどで価格や評判を確かめることでよりよいものを選択することが出来るのだろうと思います。
 しかし,医療は,専門職と一般の方には,情報量,信憑性の評価という点でギャップがあると思います。医療は難しいという考えでこれまで患者さんに医療を提供してきた結果,今のようなギャップが続いていることも一つの要因かも知れません。
 患者さんや一般の方々が,家電や車選びのように,適切に情報を評価できるように正しい知識を伝えていくことがこれから重要になると思っています。
 もちろん,マスコミなどの影響は強いのですが,いつか情報を適切に評価できる方が多くなることを夢見ながら,地道に患者さんたちに正しい考え方を伝えていければと思っています。
 患者さんが正しい情報,知識を身につけていただかなければ,チーム医療は成り立たないと思っているのですが・・
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
KEN(愛媛県) 2008/10/14
マスコミは民意を反映します。低俗な内容でも、受けるものはありますし。視聴率最優先のテレビ局の姿勢も改まることはないでしょう。逆に高尚なもの、クオリティの高いものでも、支持が得られないということもあります。最終的には自分が問われているのだといつも思います。皆さんの理解が得られるまで、道のりは長いですが、コツコツやるしかないのでしょう。私自身の勉強も含めて。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
白樺 (北海道) 2008/10/16
まさに治療中の乳癌患者です。
どういう形態の情報源がもっとも実際の患者さんに役立つのでしょう?ということでしたが、私の場合はまず最初はやはりインターネットが情報源でした。
一般論の知識をあちこちで読み(これは容易)、治療成績を数字で判断し(信じるしかない)、他の施設と比べて悪くはなく、かと言って凄く良くもなく。が良さそうかな、なんて考えました。
しかし、私の個別性に沿った治療となると、普通のサイトには求める情報はありません。
たとえば、何故、数ある抗がん剤の中から私にはこのセット?
主治医に聞けば「これが一番効果があると思われます」
自分で調べようにも求める答えはどこにも無く、同じような乳癌を治療されている方のブログを探しました。
また、抗がん剤の点滴の医療費の高いこと。一回目の点滴の後に請求されて初めて知りました。
こんな具体的な情報はありませんでした。プログには書いている方がおられますが。
患者が求めている情報は千差万別。
患者は自分の知りたい情報を色々なページをめくって探すのだと思います。
その一役を担っているとお考えになり、今後も情報を発信して下さい。先生の情報がタイムリーな情報になる方もいると思います。

Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
shige(乳腺医)(東京都) 2008/10/16
白樺さん 実地のコメントありがとうございました。
KEN先生も瀬戸山さんもありがとうございます。
自分が心配する必要もなく、ちゃんと患者さんもピンポイントの情報を客観的にさがせるようになってきているのだなあと感じました。もちろん白樺さんのようにうまくできる患者さんばかりではないのだとは思いますが。翻弄されて困った経験のかたもいらっっしゃいますか? 欲しい情報をいろんなところからみていって自分で妥当性を判断するというのが必要なんだと思います。(ちなみに自分は今日、どこの登山用チタンクッカーがよくて、どこの通販サイトが一番安いかと2時間もさまよっていまだに決まっていません。。いつもこんな例ですみません。)
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
ミニー(埼玉県) 2008/10/19
現在治療中の乳癌患者です。
shige先生の患者目線の質問に嬉しく思い、コメントさせていただきました。

どんな患者も診断が出てから治療を始めるまで、限られた時間内で色々な治療法を選択しなくてはいけません。
会ったばかりの主治医の方針がベストなのかどうか・・・
そんな時に頼れるのは、専門医の本や体験者のエッセイ、HPやblogなどだと思います。

何で情報を得るかはその方の環境によると思いますが、敵を知るのが一番の治療になるのではと私は思っています。
情報の信憑性は患者には全然分かりませんが、興味のある内容であれば主治医に相談して一つずつ整理していけばいいのかなぁと。
どんな名医や最新治療でも相性があると思いますが、自分の希望を主治医にも知ってもらえれば安心して頼れる事と思います。
ときどき聞きにくい事もありますが・・・
そんな時は、こういう掲示板などで質問させていただいたり。
結構みなさん上手に情報を使い分けできていますよ♪

shige先生の様に患者の為に新しい情報を発信してくださる先生がこれからたくさん増えることを心待ちにしています。
先生、登山用クッカーは決まりましたか?


Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
shige(東京都) 2008/10/19
ミニーさん ありがとうございました。
内容の信憑性の確認のために、主治医と話しをするのは確かになるほどです。そういえば、そんな事を質問されていることがあるなあと思い出しました。
クッカーきまりました。いろんなカタログと本をなめるようにみて、EpiのATS2リットルに。これで3人分のインスタントラーメンが一度につくれます。これは相談する相手はいませんでしたが、一人で悩まずに店にいって店員さんに聞けばよかったかな、です。やっぱり人に聞くのも大事ですね。次はMSRかタブスのスノーシューを。。(+_+)\バキッ
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
はち(海外在住) 2008/10/20
ノルバデックス治療中です。言いたいことは、ミニーさんが書いて下さいました。同感です。

買い物をする時私も悩みますが、病気に関してのサイトの使い方は違うように思います。
病気に関しては、サイト、本より、権威や知識のあるお医者さんという人がどーんと存在します。その先生の一言は、自分が集めた情報より全然重みがあります。だから、情報に翻弄されるというよりは、その存在感のあるお医者さんと、知識の無い一般人が話すための準備に使っているように感じます。

以前、こちらで相談させて頂きました。その後、日本の病院では先生方が示されたうちの一つを言われ、納得しました。主治医の言うことに納得できないときにも大変役立つと思います。ありがとうございました。

話は変わりますが、日本へ戻り、どうしてその先生を選んだか。1、通院できる範囲にあったこと。(遠いですが、、)2、医者自身のブログなどから、その姿勢が好ましいと感じたから。3、医者の書いた本に紹介されていたから。
3は、マスコミに流されてしまいましたかね!?

いずれにしても、能力のある、やる気のある先生には、一般の人にこそ真実の情報を教えて下さるようにお願いしたいです!頼みます!

Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
shige(東京都) 2008/10/20
はちさん ありがとうございました。
買い物のたとえ話で失礼しました。

”お医者さんと、知識の無い一般人が話すための準備に使っているよう”というのもわかりやすい表現です。

プロからは、一般のかたにこそわかりやすい形で情報をだしていくというのが大事ですね。
そういえば患者さん向けの学術集会というのはないようにおもいますが、どうでしょう?患者会、市民公開講座というものはありますが。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
ぷろぱ(東京都) 2008/10/21
はじめまして。
乳がん患者ではないのですが、ミニーさんの「お医者さんと、知識の無い一般人が話すための準備に使っている」という表現と、shige先生の「患者さん向けの学術集会」というご提案は、なるほど!と共感しました。

一患者として、病気のことをインターネットで見るシーンを考えると、大きく分けて、3つくらいのパターンがあると思います。

(1)病院に行くかどうか、背中を押してもらいたい。
(2)診察の後、復習したり、理解を深める。
(3)治療中、限られた時間内で治療法を選択する考え方や気持ちの整理をする。

(1)というのは、ピンクリボンキャンペーンのように、まずは医療機関に足を向けてもらうことを促すものです。
どんな検査が待っているか、それで病気がみつかったらどういう治療がある可能性があるかを、コンパクトにわかりやすく書いてあって、細かいことは、は医療機関で聞けばいいのだと思います。

(2)は、まさにミニーさんがおっしゃる「お医者さんと、知識の無い一般人が話すための準備」じゃないでしょうか。

(3)は、選択するための、正確な信頼できる客観的な情報と、それをどう感じ、どう受け止めたかの主観的な情報が両方、必要になる気がします。

わたし自身は、稀少な病気(不応症)で、同じ病気の方を探して、どういう気持ちと覚悟でどういう治療法を選択しているかを情報共有したことと同時に、いろんな国の症例報告や治療エビデンスを手当たり次第、読みました。それによって、先生の説明に対しても理解したり質問したりしやすくなりました。

(2)(3)の両方の情報が充実するといいなぁと思いますし、長期的にも短期的にも、いいコミュニケーションを支える知識を得るために、患者さん向けの学術集会というのは、とってもすてきだと思います。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
chick(東京都) 2008/10/21
インターネットや講演会での情報収集と、当事者としての現場でのナマの医療者とのやり取りは本質的に違うものだと思います。インターネットや講演会では情報の送り手は言葉は注意深く選びますし、また言葉の受け手も自分の都合にあわせて情報を取捨選択できるわけです。このような情報は、病状の理解には役立つかもしれませんが、自分の病気に対する方針を決めるのには、あまり役立たない可能性が高いです。
治療方針は科学的データ(いわゆるエビデンス)だけでは決まりません。患者さんの状態(年齢・全身状態・病状や予後)や価値観によって、いろいろな「正解」があると思います。自分にとっての最善な治療を選ぶ意味では、やはり直接担当している医師が最大の情報源だと思います。しかし診察室の現場ではききたくないbad newsがあったり(この辺は商品のお買い物とかなり違いますね)、お互いへの配慮があったり(なかったり?)、表現力の問題やいろいろな感情の動きもあって、日々医療者と患者のコミュニケーションはとても難しいと感じています。
shige先生の最初の問いかけから少しずれてしまうかも知れませんが、ネットや講演会で得られる情報が「何」の役に立つのか、ということをもっと突き詰めておく必要があるのではないかと思いました。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
上野 直人(海外在住) 2008/10/21
ネットの情報にはいくつか考慮する必要がありますね。
1.科学的信憑性があるのか?これは医療従事者でもとても難しい仕事です。はっきりいって科学的な論文を読んでもこれにかなりの時間をかけています。まして、インターネットの情報はたいていそのダイジェスト版だけになんともいえないのが正直なところです。
2.インターネットでも情報と意見がごっちゃになっている。
3.情報をどのように消化するかはかなり時間をかけて医療従事者とコミュニケーションをとらないとむずかしいです。

医療従事者が病気になってもインターネットで翻弄されるのが現実です。僕自身も含めて。笑

それだけに、先日にも書いてありましたが、情報が良いと悪いのを知ることも大切ですが。どのようにして情報を吟味するかの力を身につけていくことが大切です。患者も家族も極端に良いあるいは悪い情報だけをかき集めたがる傾向がありますね。

情報を吟味する力をつけるのは難しいです。問題は医療従事者の多くにも吟味しようという考えが多くないこと。まして、吟味する力がない医療従事者が多いのはとてもなげかわしいことです。

このような医療従事者が患者教育していると、結果は見えてきます。頑張って変化を作っていきましょうね。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
R(乳がん患者)(神奈川県) 2008/10/22
医師が『患者に最も役立つ情報源』を真剣にお考えになるとは思っていなかったので驚きました!
医師は正しいと信じている情報源を発信するだけなのかと・・・
といいますか、発信した段階で仕事が終わるのかと思っていました。

先生のように「『患者に最も役立つ情報源』を正しく伝えるにはどうしたら良いか?」などと考えるお医者様がいらっしゃるなんて感激です!

患者側は正しい情報だけを得るのは難しいです。
この情報過多の時代、いろいろ知りたいと思えば思うほど怪しいサイトにも出会います。
まして病気を告知されたばかりの患者たちは藁をも掴みたい心境ですから、不確実な情報(サイト)にも興味を持ってしまいます。
でも、もちろん役に立つ情報もたくさんあります。

『患者に最も役立つ情報源』を伝える為には先生のような信頼できるお医者様、医療スタッフとの出会いが不可欠でしょう。
その方たちのアドバイスによって、役に立つサイトか否かを認識することができるのではないでしょうか。

一人でも多くの患者たちが信頼できる医師、医療スタッフと出会えるよう『患者に最も役立つ情報』を正しく発信し続けていただきたいと心より願います。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
hirorin(薬剤師)(神奈川県) 2008/10/22
Rさんのおっしゃられるように、患者さんに正しい情報を伝えていく為には、医師のみならず看護師、薬剤師がより患者さんと関わりを持っていくことが重要だと思います。
患者さん自身が知りえた情報を、自分の言葉として消化し、納得して治療を受けられる状態になるまでには時間がかかると思います。
医療情報を吟味し、正しいものを選別していく力をつけるため、患者さんと医療スタッフとのより良いコミュニケーションの形を創っていけたらと思います。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
shige(乳腺医)(東京都) 2008/10/22
ぷろぱさん、chick先生、上野先生、Rさん、Hirorinさん
ありがとうございました。
だいぶわかってきました(?!)

1)インターネットでの情報は医師(+看護師、薬剤師など医療従事者)と知識の無い一般人が話すための準備

2)情報の信頼性はなかなかわかりにくい

3)しかし、情報の信頼性は医療者に話をぶつけることで判別できるであろう

4)個々の主観的な情報や意見、経験も、実は役にはたつ(そういうものだとわかっていれば)

5)医療者は一般のかたにできるだけ正確で、理解しやすい、批判的吟味を含んだ情報を世にだす義務がある

付け足しどうぞ!

しかし、新聞の1面の下にある書籍広告(実際には単なる広告ですが)はなんとかなりませんか。。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
tommy(京都府) 2008/10/22
がん診療連携拠点病院には、がん相談支援せんたーの開設が義務づけられています。そこでは政策としてやるべしという使命から(笑)、きちんとした相談窓口と情報センターができているところが増えていると思います。

整備には、まだまだ年数はかかるかもしれません。もちろん素晴らしい医師や医療スタッフの出会いがあれば、いうことはありませんが、自分自身で信頼性の高い情報をうまく利用するぞ、というスタンスも大事ですね。

一流ホテルのコンシェルジュのような信頼のおけるガイド(ここでは、そうゆう相談センター)があれば、そこを利用して必要な情報を入手していく強さ、ずうずうしさももっていいと思います。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
上野 直人(海外在住) 2008/10/22
情報をいかに取得するか、あるいは、いかに良い情報提供するかということに力ををいれる傾向がありますが。
インターネットにしてもマスコミにしても、情報操作をかけることは基本的に難しいです。それだけに、MDアンダーソンがんセンターでは、いかに情報を消化させるかあるいは良識の判断をみにつけていくか、インターネットの使用法などに力を入れています。それには図書士など、さまざまな仕事連携する必要がるのかもしれません。

患者はあくまで、良い情報が来るだろうと信じて待っているだけではだめだと思います。医療従事者は患者の情報に対してどこまで答えることができるかに力がきまります。答えることは、回答知っていることではありません。いかにともに情報共有しともに歩む姿勢のことです。

マスコミは、いかに真実に近づくかが大切です、新聞面の広告を取り締まることができませんが、医療面が新聞のほんの一部しか閉めてないのはいかにマスコミの中で医療が代表されていないかということです。これはひとつ、医療従事者のマスメディアに対する参加があまりにもすかないから度と思います。医師を例にとれば、医師の仕事は患者をみることだけではありません。ある時期がくればマスコミ業に移るのも良いことだと思います。

製薬業も、良識に関しては良いとこと悪いところの差を感じてしまうときがあります。自社製品のみにしか目がいかなく全体像がみえない会社は問題です。また、社会貢献に関心のない会社も困ります。われわれは良識ある会社を医療従事者も患者もサポートしていくことが大切だと思います。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
ritsu(神奈川県) 2008/10/23
数年前に人間ドックで乳房のしこりを指摘され、診断のために通院したことがある者です。最初は、自分の手にあまる事の大きさに大いにあわてましたが、泣くだけ泣いたら「いっぺんに解決しようとせず優先順位をつけよう。まず越えねばならんひとつめの大きな山は、長いお付き合いとなるであろう主治医の先生探しだ」と少し冷静に考えられるようになりました。何の知識もなかった私がまずしたことは、やはり、インターネットや書籍などから、有名で良さそうな病院や先生をリストアップする作業でした。この数字には何かからくりがあるんじゃないか・・・などと斜に構えつつも、穴があくほど、記載内容を全文ソラで言えるほど、ランキング本を熟読した覚えがあります。ただ、いくら調べても、先生個人の本当の腕の良さや実力はある一定以上はわかりませんでしたが、いろいろな情報を発信してくださっている先生であればあるほど、初心者で内容自体を理解することはできなくても、先生の考え方や姿勢はなんとなくわかるように思いました。(あくまでもこちらの主観で勝手に想像しているだけですが)そこに共感して出会えた先生であれば、よりよい信頼関係をずっと保っていけるような気がして、そんな観点からも情報収集し大変役立ちました。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
shige(東京都) 2008/10/24
tommmyさん 上野先生、ritsuさん ありがとうございました。
最初の入り口の段階でも、かなりの情報収集が必要になるのですね。どうしてもランキング本もでてきます。
その過程で、ある程度中立的な、または間口のあいている施設(がんセンターや都道府県拠点病院?)にある医療相談やセンターがホテルのコンシェルジュのような信頼のおけるガイド兼、同じ目線で相談していく医療従事者としてかかわっていくといいのかと思いました。
それが情報を一緒に吟味していく手助けになるのかもしれません。それが可能な人材を育てていくことも必要とおもいます。

もちろんストレートに相談しやすい主治医がみつかり、そこでそれができれば一番シンプルなのかもしれませんが。

Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
Kaoring(乳がん患者)(東京都) 2008/10/24
shige先生、初めまして。術後化学療法を終え、ノルバ半年の現役乳がん患者です。
先生の、ご自分の発信した情報に最後まで責任を持つ、というスタンスに、患者として大変うれしく思います。

上野先生が仰るように、「情報を共有しともに歩む姿勢」を持つ医療従事者には、私たち患者は非常に勇気付けられます。患者は、おびただしい情報に翻弄され続けている弱い存在だけではありません。

病気は密かに進行していたというのに、知識は殆ど持たなかった私は、最初は誰もがやるように、検索エンジンにキーワードを放り込んでは手当たりしだい読み漁りました。中でも、患者、体験者のブログやサイトは、手っ取り早く病気のことを知るには素人にも読みやすく、手ごろでした。

次第に、体験談は体験談として、病気については、医師の書いた本や開設しているサイトや掲示板を読むようになりました。ざっくりイメージが出来てくると、主治医に質問し、受けた説明を今一度ネットで調べて理解を深める。そんな繰り返しでした。

今は、内外の最新の研究結果や、臨床医によるネット、雑誌の記事、講演会などでの発言などに注目しています。これらの情報の中で、自分のガンのタイプに当てはまり、役立つ情報かも、と思えば、次の診察時に主治医に質問して意見を聞きます。これはDr.に聞くまでもないと思えば、専門の看護師さんもいらっしゃるし、相談室もあります。

最初は、自分は何が分からないのか、何を聞けばいいのかさえ分かりませんでしたが、知識が蓄積されてくると、こちらも情報を取捨選択できるようになり、医療者との付き合い方も会得します。限られた診察時間ですから。

良い先生にめぐり合える、というのはすなわち良い関係を築けるか、それを保てるかですね。もちろん最初から「良い」先生もいるのかもしれませんが、時間をかけて関係を構築していくものだと思っています。

おびただしい量、玉石混交の情報をふるいにかけるのは難しいですが、たくさんの情報を浴びていくうちに、患者側も見極める目を獲得していきます。皆さんが仰るようにホテルのコンシェルジュのようなものがあれば苦労しなくてすんだかな、とも思います。でも、それがどこにあるのかさえ分からなかったでしょう。告知されるまでは、自分が乳がんについて調べる日が来るなんて想像してませんから。

本題から離れてしまいました。すみません。

先生には、いろんな機会に情報を発信し続けていただきたいです。また、さまざまな患者の「生態」を知っていただくためにも、医療従事者と患者が情報交換できる学術集会を、ぜひ実現させてほしいと思っています。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
モリー(神奈川県) 2008/10/25
乳がん患者です。
検診から回された病院で、医療はどこで受けても同じクオリティ(施設の美しさや規模は別にして)と信じちょっと大変な目にあいました。
精密検査や再検査になったら乳腺専門科のある病院へ案内してほしかったです。
この再検査という時点で今後の成り行きや病気について検索して調べようという人はまずいないと思います。

有名な施設の有名な先生ならスタンダードなしかも最新の情報を発信してくださっているという状態なのだと思いますが、そうでないレベルの病院が深爪の治療の次に乳がんの手術をしている現状もあるということです。
本題について述べたいことは、少なくとも医療者側から発信する知識や情報は日本全国どこでも同じレベルの統一されたものであってほしいということです。

チーム医療の提言もとても重要だと思います。
診察室で薬品や検査の値段を聞いても答えていただけません。
治療中、楽に過ごせる方法を聞いても「しょうがないから我慢しましょう」のような回答です。
たくさん検査値が出ているようですが「変わりありません」で終わります。
すべてを医師に求めるのは無理がありますよね。
いろいろなコメディカルの方からの情報がまとめて見られるとうれしいです。

あとは年配の患者さんにもネットが使える環境整備ができるといいですね。これは患者会などでも勉強しあえる姿勢があるようなコミュニティが可能だと思います。

いろいろ注文つけて申し訳ありません。
一所懸命やっていただいているお仕事(ボランティア?)は絶対無駄にはなっていません。
今後もよろしくお願いいたします。
Re:患者さん向けサイトは本当に役立つ情報源?
shige (乳腺医)(東京都) 2008/10/27
Kaoringさん、モリーさん いろんなご経験を聞かせていただいてありがとうございました。

ネット、もしくは情報源を探せない患者さんでの問題はたしかにありますね。逆に、これに頼らざる得ない、がんのセンター病院への物理的なアクセスの悪い地域の患者さんはどうされているのだろうと思いました。最初の一歩(検診→精査)も、なかなかいい情報をもてない時期ですね。ここはどちらかというと医療者の方での連携の問題なのかもしれません。

すこしまとめのupdateです。


1)インターネットでの情報は医師(+看護師、薬剤師など医療従事者)と知識の無い一般人が話すための準備

2)情報の信頼性はなかなかわかりにくいが、たくさんの情報にあたるうちに見分けはできるようになる(ことが多い)

3)情報の信頼性は医療者に話をぶつけることで判別できるであろう 。わからない場合は、一緒に考えていく姿勢で。質的にも量的にも多職種の関与が重要。

4)個々の主観的な情報や意見、経験も、実は役にはたつ(そういうものだとわかっていれば)

5)医療者は一般のかたにできるだけ正確で、理解しやすい、批判的吟味を含んだ情報を世にだす義務がある 。マスコミへのコミットも必要。

この掲示版に参加していただいている医療関係者、患者さん、一般のかた(?)、みなさん直接には得るものはないかもしれませんが、いろいろなことを出しているうちになにかあいまいだったものの姿がみえてくるのではないかと思っております。

記事内容を変更することはできません。記述を修正したい場合はコメント欄を使って補足・訂正を行ってください。