掲示板「チームオンコロジー」

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治療とその選択
乳癌のPgR値について
カサブランカ(埼玉県) 2018/12/24
左乳癌 2018年2月
全摘
63歳
ステージ1
1.4mm
センチネル生検陰性0/2
グレード2
ki67 10%以下
HER2: score 1, ER: score 3b, PgR: score 0

オンコタイプDX結果
再発スコア17 低リスク群
10年タモキシフェン単独再発率11%
ERスコア11.3陽性
PRスコア3.8陰性
HERスコア9.4陰性

現在ホルモン療法のみ(アミリデックス1mg)

・私の場合PgR陰性ですが、ki67が低値な為ルミナールAルミナールBどちらになるのでしょうか?
主治医によるとki67が低値な為抗がん剤はなしだったのですが、ネットなどの情報によるとPgR陰性はルミナールBになるのではないかと疑問です。
・またたとえルミナールBだとしてもオンコタイプDX結果が再発スコア17で低リスク群ということからも抗がん剤は必要なしという同意見でしょうか?
宜しくお願い致します

   
Re:乳癌のPgR値について
NS(東京都) 2018/12/29
カサブランカさま

2月に手術を受けられ、その後の病理結果とオンコタイプDX検査の結果により、現在ホルモン療法を受けていらっしゃるのですね。

その中で、ネットの情報をご覧になり、ご自身のPgRが陰性で、ルミナールB乳がんではないか、とご心配になり、ご質問されていることと思います。

ルミナールAやルミナールB乳がんという言葉をよく耳にされると思いますが、もともと、AとBの区別(や、ハーツ―タイプ、ベーサルタイプ、などのサブタイプ)は、様々な「遺伝子」の発現状況などから区別されるようになりました。これは、乳がんの治療の世界では画期的なことでしたが、サブタイプの決定的な統一された定義というのは、実はまだありません。サブタイプを判定するための遺伝子検査も存在しますが、使用する遺伝子の種類によっては異なるタイプに分けられてしまうこともあります。

また、サブタイプを決めるための遺伝子検査が(統一されていないだけでなく)すべての方に使用できるわけではないので、その代わりとして、ER(エストロゲン受容体)やPgR(プロゲステロン受容体)、Ki67などの「タンパク質」の発現を見て、~タイプ的、と便宜的に分ける方法が使われています。カサブランカさんがネットでご覧になったのは、これらを用いた場合の分け方だと思いますが、近年ではAとBは連続的に存在していて、どこかからすっぱりAとBを分けることはできない、という考え方になっていると思います。

オンコタイプDX検査は、サブタイプを決定するための検査ではなく、Ki67やPRも含めた21個の遺伝子の発現状況を総合的に調べて、「将来がんが再発するリスク」と、「抗がん剤を行うことで、そのリスクをどのくらい下げることができそうか」を推定する「再発スコア結果」という数値を算出する検査です。

今年発表された大規模な臨床試験では、ER陽性、HER2陰性、リンパ節転移陰性乳がんで、再発スコア結果が11から25の間の方は、抗がん剤をしても、しなくても、再発のリスクはかわならかった、という結果がでています。(特に51歳以上の方。)

これらの情報をもとに、カサブランカさまのご病気を一番よくご理解されている主治医の先生と、疑問点をもう一度お話合いなさってはいかがでしょうか。

カサブランカさまが、納得して治療を続けられることをお祈りしています。
Re:乳癌のPgR値について
カサブランカ(埼玉県) 2018/12/29
大変分かりやすく説明して頂きありがとうございました。ルミナールaとbの関連性について理解することが出来き、助けて頂き感謝しております。

違う件になってしまうのですが切除断片についてご教示お願いしたく質問させて下さい。

全摘手術後、病理結果に切除断片surgical margin:Xとありました。
Xというのは診断が切除断片5mmなかったなどの理由で陰性か陽性か上手く判断出来なかったとをネットで教えて頂いたのですが、主治医の先生からは何も断片の話はなく放射線についても話はありませんでした。放射線するべきだったのか気掛かりです。

・どの様な状況で切除断片surgical margin:Xになるのでしょうか?5mmなかったからという以外に何かありますでしょうか?

・切除断片surgical margin:Xという結果は放射線を検討する必要はないものなのでしょうか?

・通常Xとの結果になった場合どのような検査・治療があるのでしょうか?

・また必要ない場合、陽性でも陰性でもないということは(定期検査は脇だけでなく切除部分のエコーなど)何か検査でフォローしていく必要がありますでしょうか?

全摘・センチネル転移なし・ステージ1・閉経・ホルモン治療中です。
Re:乳癌のPgR値について
NS(東京都) 2019/01/11
カサブランカさま
お返事が年を越して、遅れてしまいすみませんでした。

ルミナールタイプについて、回答がご理解の助けになり、今後のコミュニケーションのお役にたつようであれば幸いです。

さて、切除断端についてのご質問について調べてみましたが、
Surgical margin: Xという記述に該当する、共通の定義というものは存在しないようです。病院による記載のルールなどもあるかもしれず、主治医の先生にご相談されるのが最善と思われます。

切除断端の状態は、病理医の先生が顕微鏡で見て判断されますが、一人ひとりの状況はそれこそ様々です。
カサブランカさまの手術後の切除断端がXと表記された理由と、それが臨床的にどのように影響するのか(例えば、ご質問にあるような、放射線の要否に影響するのか、フォローアップの際に影響するのか、など、主治医の先生のご判断)について、この掲示板でお答えすることは、残念ながら困難であることをご理解ください。

カサブランカさまのご質問は大変理解しやすく、質問力が高い方だな、と思いました。
こちらの掲示板にご質問なさったように、要点をまとめて(紙に書いて持っていかれることをお勧めします)ぜひ先生にお尋ねになられてはいかがでしょうか。

聞きたいことがあるのになかなか医師に聞けない、ということは、案外多いと思います。
実際、医師は忙しいことが多く、いきなりその場で答えを求められると困ってしまうことがあるかもしれません。

でも、「今治療を継続している中で、経過を振り返ってみたら、このような疑問が湧いたのですが」、と言って、質問を切り出したり、「後日でもいいので、改めてお時間いただけますか」と確認をすることは、カサブランカさまが納得して治療を継続して頂くうえで、とても大切なことのように思います。

もし、主治医の先生へ直接聞きづらい、何か特別な理由がおありであれば、その点について我々のチームから何かアドバイスできることもあるかもしれません。

がん、と診断されてから、様々な選択をしながらここまで治療を続けてこられたことと思います。
その都度、疑問に対していろいろとお調べになる姿勢が、素晴らしいです。

これからも、カサブランカさまの気がかりが、少しずつでも減っていかれることをお祈りしています。

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