MDAでの研修
Japanese Medical Exchange Program 現地報告
Japanese Medical Exchange Program & Reports
JME 2019 現地報告 Day23
みなさん、こんにちは。
JME 2019 21日目を担当させていただきます、筑波大学附属病院 薬剤部 樫村彩香です。
本日は、MDアンダーソンがんセンターで2日間にかけて開催される、臨床現場における患者報告アウトカム ; Patient Reported Outcomes (PRO) in the Clinical Settingという学会に参加しました。
↑ 学会プログラム
Historical Overview of Increasing Use of Patient Reported Outcomes Cancer Care のセッションでは、疾患及び治療に対する患者の認識を理解することへの関心が世界で高まっている背景から始まり、PROを実現するシステムについてお話がありました。英国の国立衛生研究所が資金を提供して2013年1月に開始した多施設共同プログラムeRAPIDは、がん治療のより安全な実施とがん治療に関連する有害事象モニタリングを目的とした電子の患者報告システムです。患者が自宅や診療所から提出したオンラインレポートは、院内電子カルテに反映されるため臨床医はレポートを考慮した治療方針の決定が可能です。
入院中、患者は医療者と密に連絡を取れる環境にあり、病状の変化や治療薬による副作用を伝達することが安易なため異変を早期に発見することができますが、退院後は患者が病院に電話をしたり外来を受診したりしない限り医療者と連絡を取る手段がありません。具体的に、副作用が出たと気づいたらどのように対処すればよいのか、退院前に患者指導をしていても、自宅で症状が出現したときに混乱してしまい、一時的に忘れてしまうこともあります。そのような患者さんのためにも、自宅に居ながら医療者に連絡が取れる機能や、症状の段階に応じて受診を薦めるような警告表示機能があると助かるのではないかと思いました。
学会ブースでは、医学社会科学科Department of Medical Social Sciencesの研究員兼製品マネージャーであるMichelleさんに、臨床及び研究両方の現場にとってPROが有用な分野であることの説明や、電子カルテとの連動の実現についてお話を聞きました。様々な年齢、疾患別の症状、言語、リテラシー、民族性を考慮しなければならない複雑さがそこにはありますが、必ず実現したいとお話ししていたのが印象的でした。
生活の質QOLは患者の主観的要素が強く、科学的に測定不能のため評価方法が問題となる場合が多いですが、妥当性・信頼性のある指標を試行錯誤しながら開発していくことが、臨床・研究分野の進歩と患者の満足度向上のため大事だと感じました。
学会の後に学んだことのまとめと最終日のプレゼンテーションに向けたグループワークをしました。
本日の夕ご飯は、Rice Villageの中にあるJeffの自宅でBBQの予定です。
それでは皆さん、よい週末をお過ごしください。