MDAでの研修
Japanese Medical Exchange Program 現地報告
Japanese Medical Exchange Program & Reports
JME 2019 現地報告 Day37
みなさんこんにちは。
国立国際医療研究センター病院外科の加藤です。
本日9月27日で5週間にわたるJME2019プログラムをメンバー全員で無事に終了することができました。
サポートしていただいたJTOPの方々、快く我々を送り出してくださった職場の方々、連日ブログを読んでくださっているみなさまにこの場をお借りして感謝御礼いたします。
5週間という期間にいろいろな経験が詰まっていました。しかし、プログラムの内容が充実しておりあっという間に過ぎてしまいました。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
午前 MarcyにIDバッチ、パソコンの返却、チェックアウト。
その後それぞれのプログラム/ Free Time
午後 Janis との最後のLecture
Dr.Uenoと最後のLecture
夜 US Mentorsと最後の食事会
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
IDバッジも返却し、5週間お世話になったMDAnderson Cancer Centerへのシャトルのお兄さんと会えることも今日で終わりかと思うと、少しさみしくなりました。↑毎日通勤でお世話になったシャトルとお兄さん。日本語を覚えてくださいました。
今回のJME2019ではいろんなことを学びました。
・各Clinicalプログラム:その持ち場の職業の方の役割を知るとともに、どういう姿勢で仕事に臨んでいるのかを学びました。またMDACCならではの特徴を学ぶことができました。
・Self Development (Dr. Ueno): 自分が本当に何をやりたいか、どのような世界にしたいのか、を真剣に考え、実現可能なGoalを作っていくことにより、医療者としてどうあるべきか、何をしていかなければいけないかを考えさせられました。
・Leadership (Janis): 人生で自分が大切にしている要素を知る、それを共有することによってチームを形成していく。また言い出しにくい話題・会話をどう行うかという問題解決方法を学びました。
・Ethics(Dr.Theriout): 倫理とは何か、臨床研究だけではなく臨床の場での倫理、また多様化する社会でのあり方について学びました。
そのほかにもPathology, Radiology, Statisticsなどの分野のレクチャーやAPRN, Pharmacists, Social Workerなどからのセッションがありました。
↑Lectureの最後にみんなで写真を撮りました。Janisは各々に本をプレゼントしてくださいました。
M.D. Anderson Cancer Center ではたくさんの職種がありました。
代表的なものでは、
Physician: 臨床は各人の契約によって一週間に診療を行う回数が異なる。また、臨床だけではなく研究を行うことも求められる。
Nurse: Clinical Nurse: 病棟や外来での患者さんのCareを行う。
Advanced Practice Nurse[処方権あり]: 病棟や外来での診療を行う。
Pharmacist[処方権あり]: 配属によって働きは違うが、外来では診療を共に行い、処方、患者教育を行う。
Physician’s Assistant[処方権あり]: 病棟や外来での診療を主に行う。(APRNとほぼ一緒、一般的に医師側の視点にいるという声が多かった。)
Social Worker: 日本のSWと重なる部分はあるが、加えて患者さんの社会的、心理的問題をサポートする。病気のことを家族にどう伝えるか、最期をどう過ごすかなどを考える機会を提供してくれる。
Ethicist: 倫理的に判断が難しい状況でコンサルを受けて介入する。BedSideで直接患者さんと話すことも多い。
Patient’s Advocate: 患者さんが病院への要望、何かを表明したいときに第三者として介入。
この中でAPRN, Pharmacist, Physician’s Assistant, Social Workerには修士課程が求められています。
これらすべての職種が患者さんに関わり、役割が細かく、明確に分かれているからこそ情報を共有していくことが大切で、またそれがMDACCではCommunication能力や電子カルテ・携帯などの端末を上手に活用することで成し遂げられているように思いました。患者さんは自分の病気に対しての治療だけでなく、自分がどうありたいか、どう生きたいかを考え、それらを伝えることができていました。
↑MD Andersonではたくさんの職種があり、医療者同士、患者さんも自ら進んで相互的にCommunicationをとっていました。
5週間、MDACCで見て、聞いて、感じたことはここでは書き尽くせないほどありました。
では、日本で私たちがこれからできることは何なのでしょうか?
日本では、保険やシステムが違うため、このようなチーム医療は不可能なのでしょうか?
MDACCは世界一のがんセンターですが、世界一であり続けるのには理由があるはずです。
現に今回ここまで行き着くには様々なドラマがあったとお聞きしました。
その過程では、全員が患者中心の医療を常に考えています。
MDACCの一つの戦略としてMissionの”Eliminate Cancer”というのがあります。
一見不可能なこの文章を全面的に押し出すことによって、患者さんにとっては希望の言葉、従業員にとっては各従業員を鼓舞する言葉となり、患者と従業員が一つになってその目標に進んでいます。
私たちもMDACCになる!ではなく、日本での現状から医療者として患者さんのために何ができるか、何をしなければいけないか。
私たちはこれから一つ一つの過程で、常に考えて、行動を起こして行かなければいけないと強く思いました。
↑Houstonでの最後の食事に皆さんお忙しいところかけつけてくださいました。
明日は午前中のフライトで日本に帰国する予定です。
リレーブログの最後はRurinaさんがお届けします。
最後の最後までお付き合いくだされば幸いです。
国立開発研究法人
国立国際医療研究センター病院外科
加藤 大貴